公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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健康づくり・介護予防を始めよう

「介護予防」はなぜ必要か

1.健康寿命を延ばそう

わが国は、いまや世界有数の長寿国です。その一方で、食生活や運動習慣などを原因とする生活習慣病の増加にともない、認知症(痴呆)や寝たきりなどの要介護状態になる人々が増えています。
65歳の方の平均余命を見ると、男性には18年、女性には23年の人生が残されています(表1)。元気で長生きできる期間(健康寿命)を延ばすためにも、食生活や運動習慣などの生活習慣を改善することが大切です。

■ 図1 死亡原因の割合
生活習慣病による死亡の割合は6割です。
厚生労働省「人口動態統計」(平成15年)より

■ 表1 主な年齢の平均余命
(カッコ内は平均寿命まで生きた場合の年齢)
年齢 男性 女性
55歳 26.1年(81.1歳) 32.0年(87.0歳)
65歳 18.0年(83.0歳)

23.0年(88.0歳)

75歳 11.1年(86.1歳) 14.7年(89.7歳)
厚生労働省「簡易生命表」(平成15年)より

2 将来介護が必要にならないために大切なこと

元気で長生きするためには、生活習慣病を予防するだけでは、十分ではありません。「老化」を積極的に予防する必要があります。
図2のとおり、介護が必要となる原因の大半は、高齢による衰弱、転倒・骨折、認知症(痴呆)、関節疾患など「老化現象」によるもので、「病気」を原因とするもののほうが少ないのがわかります。
身体の機能は、適切な対策を行えば、維持・改善することができます。「足腰が弱くなって次第に歩けなくなる」「物忘れがひどくなって日常生活が送れなくなる」のは、「年をとれば仕方がないこと」ではなく、予防できることです。年をとっても元気でいきいきと暮らせるようにするためにも、「介護予防」が必要です。

コラム「増える要介護者」>>
■ 図2 65歳以上の要介護の原因
厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成13年)より

3 転倒・骨折を予防しよう

(1)転倒・骨折予防の必要性
高齢になると、骨の密度が低くなり、骨折しやすくなります。特に閉経後の女性には、女性ホルモンの低下により「骨粗鬆(しょう)症」が多く見られます。
要介護となる原因を男女別に見ると、女性の「転倒・骨折」の割合は男性の2倍以上も高くなっています(図3)。
年齢別に見ると、脳卒中などの疾病を原因とするものは年齢とともに少なくなり、「転倒・骨折」「衰弱」などの老化を原因とするものが増えてきます(図4)。
骨折のなかで、特に深刻なのが大腿骨頸部(ふとももの付け根)の骨折です。この骨折は、転んで尻もちをついたときなどに起こります。大腿骨頸部の骨折者数は年々増加し、10年間で約1.7倍に増加しています(図5)。ある調査で、大腿骨頸部の骨折2,000例の原因を調べたところ、約85%が「転倒」でした。
転倒・骨折を原因とした寝たきり高齢者が増えるなか、転倒しないようにすることで、骨折を減らすことが重要です。
■ 図3 要介護の原因(男女別)
■ 図5 全国における大腿骨頸部骨折の年次別発生数
厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成13年)より

(折茂肇、橋本勉、坂田清美他、第3回大腿骨頸部骨折
全国頻度調査成績−1997年における新発生患者数の
推定と10年間の推移−、日本医事新報、 1999より)

■ 図4 介護が必要となった主な原因(年齢別)

厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成13年)より
(2)転倒・骨折の危険度をチェックしよう
転倒を起こす要因には、筋力の低下などの「身体的要因」と、住環境などの「背景要因」の2種類があります。
「転倒危険度チェックリスト」は、その両方を総合的に評価するためのものです。
(3)転倒・骨折を予防するには
ある調査によれば、転倒のほとんどは「屋内」(廊下、寝室、居間、トイレなど)で起こっています(図6)。転倒の原因は、「足のもつれ」「その他の身体要因」「バランス障害」などの身体的要因と、「暗い」「床滑り」「段差」などの背景要因の両方です。
従って、転倒・骨折を予防するためには、次の2つのことが重要です。
1)身体活動(筋力トレーニング、ストレッチング、ウオーキング等)により、身体機能の維持、向上を図ること。
2)住環境の整備を行うこと。具体的方法は、表3のとおりです。
■ 図6 転倒発生場所の割合
(眞野行生、中根理江、渡部一郎、高齢者の歩行と転倒の実態. 高齢者の転倒とその対策、医歯薬出版、1999より)
■表3 転倒・骨折予防のための住環境整備の例
1 玄関 上がりかまちの段差解消/手すりの設置、腰かけるイスの用意 等
2 廊下 歩行時につかめる手すりの設置/車イスが走行できるスペースの確保 等
3 居室 温度や湿度が調節できるようにする/トイレ・浴室までの移動をスムーズにできる経路の確保/確実に操作できる照明のスイッチの位置やしびんの置き場所の検討 等
4 トイレ 温度調節が可能で安全な暖房器具の使用、立ちしゃがみ動作の楽な洋式便器/車いす使用も可能なようにドアは引き戸か外開き戸で間口は広く/手すりは便器の横に設置 等
5 浴室 戸は間口が広くなるように引き戸や2枚戸から3枚戸に/浴槽は半埋め込み式に/段差を解消し手すりを設置/洗い場と浴槽内に滑り止めマットを敷く/脱衣室の室温調節に注意する 等
6 階段 手すりを設置/段鼻に滑り止めを取り付ける/障害状況により階段昇降機や足元灯が設置できるように電源と電気容量を確保しておく 等
7 台所 火元の確認、やけどの防止に配慮し、収納棚からの安全な出し入れ、移動しやすい家具の配置や作業中の休憩場所を検討する 等