公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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筋力向上トレーニングのすすめ

1.筋力向上は何歳からでも可能

(1)筋力トレーニングの必要性
一般的には、筋力は20歳代にピークを迎え、その後徐々に低下し、60歳を過ぎると劇的に低下します。しかし高齢者の筋力やその他の運動機能には、大きな個人差があります。同じ80歳でも、まったくの寝たきりの人もいれば、元気にスポーツをしている人もいます。これは、日常の運動に差があるためです。
体力は貯蓄のようなものであり、何もしなければ毎年少しずつ減っていき、やがては底をつきます。かつてよりも寿命が長くなったのですから、それに見合うだけのトレーニングを行い、貯蓄を殖やす必要があります。

(2)筋力トレーニングの効果
高齢者であっても、積極的な筋力トレーニングを行えば、加齢による筋力・筋量の低下を防ぎ、さらに増強することが可能です。同時に、持久力や、柔軟性、バランス能力も向上することができます。最近の研究では、90歳以上の高齢者であっても、筋力トレーニングにより筋力を増強できることがわかっています。
家にこもりきりの生活となり、日常の活動量が低下してくると、次第に運動機能が低下します。また病気や入院などにより、急激に運動機能が低下することもあります。こうした運動機能の低下は、そのために外出がおっくうになり、さらに運動機能が低下するという悪循環を招きがちです。
高齢者の自立した生活のためには、この悪循環を断ち切る必要があります。そのために必要なのが、本書で紹介する筋力トレーニング等の運動なのです。

コラム「女性と骨粗鬆(しょう)症について」>>

(3)トレーニング効果の具体例(ケーススタディ)
Aさんは、60歳代の終わりに胃潰瘍(かいよう)で入院しました。退院時には長い療養生活のために体力が衰え、持病の腰痛も再発。歩行に支障をきたす状態となりました。
「このまま寝たきりになるのではないか」と心配したAさんは、筑波大学と大洋村(茨城県)が共同で開催した運動教室に参加することにしました。最初はリハビリを兼ねて歩行・ストレッチングに取り組み、次第に筋力トレーニングも行っていきました
トレーニングの結果、Aさんは苦もなく歩けるようになり、腰痛・肩こりも解消。両手あわせて25kgのダンベルを持ち上げるトレーニングも軽々とこなすようになりました。
76歳時の体力測定では、「体力年齢64歳」という好結果に。はつらつとした様子のAさんは、「体が軽く、気持ちも軽い。自分の体に自身を持てるようになった」と語っています。筋力向上は、単に運動機能を向上させるだけではなく、同時に「心の元気」をもたらすのです。

コラム「筋力向上トレーニングの効果」>>

2.痛みがある人のトレーニングの考え方

高齢者は、既に何らかの疾患を抱えていたり、膝・腰等の痛みに悩んでいたりする場合が少なくありません。しかし健康や体力に多少の問題があるからといって、運動を行わなければ、運動機能は低下する一方です。問題がある場合にも、必要に応じてかかりつけ医や理学療法士等の指導を受けながら、運動をやってみることが大切です。
腰や膝等の痛みは、関節や筋肉の炎症により生じます。炎症症状には、運動してもよい痛みと、ダメな痛みがあります。痛いからすべての運動ができないわけではなくて、運動療法という言葉があるとおり、状態に応じて運動を行うことで、症状が改善します。

痛みの程度別の対応について

  • ある運動をして、すぐに痛くなる場合は、その運動はしてはいけません。冷やすか、安静にしましょう。
  • 運動が終わった後に、30分以上痛みが続くような場合は、その運動が炎症を増長していると考えられます。つまり、その運動はあまり合っていないといえます。
  • 30分以内で痛みのレベルが元の状態と同じように収まるようならば、これはそのまま続けても構いません。
  • 痛みのために筋力トレーニングができない場合には、ストレッチングや体・関節のリラクゼーションの運動を行います。そして痛みが改善してきたら、徐々に筋力トレーニングもメニューに組み入れていきます。

3.機械によるトレーニングについて

体力の衰えた虚弱高齢者の場合には、トレーニングマシンを使った筋力トレーニングが有効です。マシンによる筋力トレーニングでは、自分の体重よりもはるかに小さい負荷からスタートして、少しずつ負荷を上げながら体をつくっていくことができます。
またマシントレーニングは、体を動かす際の姿勢やスピード等に制限があるため、運動習慣の無い人にとっては、むしろやりやすい面があります。
本書では、手軽に、誰もが実施できるよう、マシンを使わないトレーニング方法を紹介しています。しかし、マシンを使った運動も決して難しくはありませんので、身近に運動施設がある場合には、ぜひ試してみてください。