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21世紀のたばこ対策検討会(第1回)

4-1 国際機関の対策

たばこの健康被害は世界規模で拡大しており、国境を越える多国籍たばこ企業の活動に対する
国際的な取り組みが求められており、2000年までに枠組み条約制定の準備が進められている。



●国連及び関連機関

・ 世界保健機関(WHO):1970年以来、16回にわたる世界保健総会(WHA)決議を採択し、加盟国における総合的なたばこ対策の推進(表1)や他の国連機関との連携について勧告している

・ 世界銀行(World Bank):1970年代からのたばこ生産奨励政策を転換し、たばこ生産は短期的には喫煙者やたばこ産業に便益を生み出すが、長期的にはたばこ関連疾患による医療費の増加や生産性の低下により、世界経済に重大な損失をもたらすとして、1992年よりたばこ生産への貸付を中止している

・ 国連経済社会理事会(ECOSOC):理事会決議により、たばこ対策には多方面からの協力が必要であるとし、国連におけるたばこ対策の連絡調整拠点を国連貿易開発会議(UNCTAD)に設置した

・ 国際民間航空機関(ICAO):1996年7月までに国際線を禁煙とすることを総会決議し 実施路線が増えている。


●環境大臣会合 及びデンバー・サミット(先進国首脳会議)8カ国宣言

・ 1997年両会議において、児童の環境汚染物質への曝露の脆弱性に鑑み、環境リスク評価と基準設定に明示的に児童を組み込み、児童のたばこ煙への曝露を低減させることへの国際的な協力が盛り込まれた(表2)。


●国際非政府組織(NGO)の活動

・ たばこか健康か世界会議:1967年以来、米国がん協会、WHO、各国政府ならびに国内外のNGOにより10回にわたり開催され、たばこ使用の抑制のための国際的理解と活動の推進に貢献している(表3)

・ 国際反たばこ非政府連合(UNGCAT):国際対結核・肺疾患連盟(IUATLD)、国際対がん連盟(UICC)等、積極的なたばこ対策活動を行っている専門団体や、ラテンアメリカ(LACCSC)、アジア太平洋地域(APACT)、ヨーロッパ(EMASH)等の地域的活動母体などが結成し、国際的な対策の推進を図っている。

・ 世界医師連盟(World Medical Association):1997年、各国医師会に対して、反たばこ政策の採択と、医師・医療機関の禁煙、たばこ産業からの研究助成を受けるべきでないことなどを含む勧告を行った(表4)


●国際枠組み条約

・ 以上のような国際的な取り組みの広がりにも関わらず、WHOが勧告している総合的たばこ対策を単独の国家で実施することは、国内の事情や国境を越えた多国籍企業の活動のために困難であるため、WHOの「国際枠組み条約」の制定が検討されている。これは、広告規制、価格政策、有害成分規制、密輸防止等に対し、国際的調和の観点から、条約法として加盟国における総合的たばこ対策の実施を促進するものである

表1 WHOの勧告する総合的たばこ対策


1. 子供のたばこ依存の防止(※)…WHA23.32、WHA39.14

2. たばこの消費抑制のため、たばこ税を価格や所得の成長より速く増額する経済政策(※)…WHA29.55, WHA39.14, WHA43.16

3. たばこ税増税分の一部を、他のたばこ対策や健康増進方策の財源へ転換…WHA29.55

4. 健康増進、健康教育、禁煙支援プログラム、保健医療従事者や保健医療機関の禁煙…WHA24.48, WHA29.55, WHA39.14

5. 環境中のたばこ煙(ETS)への不随意曝露[受動喫煙]からの保護(※)…WHA39.14, WHA43.16, WHA44.26

6. たばこ使用を維持し推進するような社会経済的、行動的、その他の報償の排除…WHA39.14

7. 間接及び直接のたばこ広告、販売促進、スポンサーシップの排除(※)…WHA31.56, WHA39.14, WHA43.16

8. たばこ製品の規制、たばこ製品や残存する広告への顕著な健康警告文の掲載、たばこ製品やたばこ煙中の毒性成分の制限
及び定期的な報告(※)…WHA39.14

9. たばこ耕作及び製造に対する経済転換の推進…WHA23.32、WHA24.48, WHA39.14

10.たばこ問題の効果的な管理、監視、評価…WHA23.32, WHA29.55, WHA39.14    

(※)は法的規制が必要な方策