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21世紀のたばこ対策検討会(第1回)

4-3 米国のたばこ対策の動向

米国では、ニコチン依存に対する認識とたばこ産業の所業が明らかになり、FTCからFDAへと規制権限の移譲が行われようとしている。


●従来、連邦レベルでは、公衆衛生局(PHS)が調査研究・啓発普及の観点から、「公衆衛生総監報告書」の刊行や地域介入プログラムの実施などを行い、連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法と消費者保護の観点から、広告規制及び警告表示、有害成分(タール・ニコチン・一酸化炭素)の測定・表示を行ってきた1 。しかし、1994年食品医薬品局(FDA)は独自の調査事実(表1)に基づき、たばこ産業は製品中のニコチンを意図的に操作しているとし、多くの喫煙者が未成年のうちに喫煙を開始しニコチン依存症に陥ることから、食品医薬品化粧品法*の下に、未成年の薬物使用防止の観点から、たばこ製品の販売・広告を規制する方針を公表し、1995年に規制案を発表した2
(*食品医薬品化粧品法は、「身体の構造や機能に影響を与えることが意図された」製品(食品を除く)を医薬品または医療器具である、と規定。ニコチンは精神変容作用、依存性、体重減少作用があり、製造者はこれを意図していることが立証されている。)

●クリントン大統領もFDAの方針を支持 3し、紙巻たばこと無煙たばこの子供と青少年への販売・広告規制規則(表2)が1996年に公布され、紙巻たばこと無煙たばこは依存性ならびにその他の重要な薬理作用をもたらす薬物、ニコチンのデリバリーデバイスであるとして、FDAは規制を行うことになった4。しかし、FDAの権限を妨げるために、広告規制は違憲であるとのたばこ産業による訴訟や反対法案の提出など様々な抵抗が試みられ、施行は見送られている。

●地方レベルでは、1997年、カリフォルニア州では公共の場所(酒場も含む)や職場の禁煙法が公布され、大手たばこ産業の本社のあるニューヨーク市でも広告規制条例が通っている。マサチューセッツ州は「たばこ製品の成分・添加物の開示法」5 を公布し、たばこ煙のニコチン・タールが実際の喫煙条件下ではFTC法による測定値の2〜4倍発生すること、原料や添加物の燃焼によりアクロレインやカテコールなど有害な熱分解産物が発生することを確認、個々の有害成分のリスク評価を行っている6

表1 FDAの調査結果
・ニコチンの依存性は、科学的常識として認められていること。
・たばこ産業は、喫煙者のニコチン摂取量を物理的、化学的、生物学的に調節できる技術を有していること。
・たばこ産業は、ニコチンの代謝・薬物動態・投与法等に関する膨大な研究成果を隠蔽していたこと。

[Federal Register:60(155),1995,Federal Resister:61(168),1996]


表2 FDAによるたばこ製品の規制の概要(医療器具として規制)
1.子供と青少年へのアクセスの規制
a. 購入(販売)可能な最少年齢は18歳(26歳以下の者には年齢証明を要す)。
b. 無料見本配布、ばら売り、20本未満の包装の禁止。
c. 自動販売機・セルフサービス陳列の禁止(成人指定施設を除く)。
2.子供と青少年へのたばこ製品の広告・販促活動の規制
a. 学校や運動場の1000フィート以内の屋外看板の禁止、その他の広告は白黒の文章のみ(成人指定施設内を除く)
b. 未成年者が主な読者(15%以上または200万人)の出版物においては白黒文章のみの広告は可。
c. たばこ製品の銘柄名やロゴのついたグッズの販売・配布の禁止。
d. スポーツや娯楽イベントの銘柄名での後援の禁止(会社名では可能)。
3.青少年へのたばこの害の健康教育
   国家的な教育キャンペーンを行うために、たばこ製造業者に年間1億5000万ドルの資金を提供させる。

[Federal Register:61(168),1996]