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職場における喫煙対策のためのガイドライン

(ガイドラインの構成)

1 趣旨

2 基本的考え方

3 経営首脳者、管理者及び労働者の果たすべき役割

(1)経営首脳者
(2)管理者
(3)労働者

4 喫煙対策の推進計画

5 喫煙対策の推進体制

(1)喫煙対策委員会
(2)喫煙対策の担当部課等

6 施設・設備

(1)事務室
(2)会議室
(3)応接室
(4)食堂
(5)休憩室、リフレッシュルーム
(6)廊下、エレベーターホール等の共同使用区域

7 職場の空気環境

8 喫煙に関する教育等

9 喫煙対策の評価

10その他喫煙対策を進める上での留意事項

(1)喫煙者と非喫煙者の相互理解
(2)妊婦等への配慮
(3)喫煙対策の周知
(4)情報の提供等

別 紙

  • 職場の空気環境の測定



職場における喫煙対策のためのガイドライン

1 趣旨  このページのトップへ

 喫煙による健康への影響に関する社会的関心が高まる中で、自らの意志とは関係なく、環境中のたばこの煙を吸入すること(以下「受動喫煙」という。)による非喫煙者の健康への影響が報告されている。また、受動喫煙は、非喫煙者に対して不快感、ストレス等も与えていることが指摘されており、職場における労働者の健康の確保や快適な職場環境の形成の促進の観点から、受動喫煙を防止するための労働衛生上の対策が求められている。

 本ガイドラインは、労働者がその生活時間の多くを過ごす職場において、喫煙の影響が非喫煙者の健康に及ぶことを防ぎつつ、喫煙者と非喫煙者が良好な人間関係の下に就業できるよう、事業場において関係者が講ずべき原則的な措置を示すことにより、労働者の健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成の促進を図ることを目的とする。

 事業者は、本ガイドラインに沿いつつ、事業場の実態に即して職場における喫煙対策に積極的に取リ組むことが望ましい。

2 基本的考え方  このページのトップへ

 受動喫煙による非喫煙者の健康への影響が指摘されている一方で、喫煙は個人の嗜好に強く関わるものとして、喫煙に対し寛容な社会的認識がなお一部に残る中にあって、職場における喫煙対策を推進するに当たっては、喫煙者と非喫煙者が相互の立場を尊重することが重要である。

 喫煙者は、受動喫煙が非喫煙者に対して健康への影響や不快感、ストレス等を与ええることを十分に認識し、他方、非喫煙者は喫煙対策の推進には喫煙者の協力が不可欠であることを十分認識することが必要である。

 また、喫煙対策を実効あるものとするためには、労働衛生管理の一貫として組織的に取り組む必要があることから、職場における喫煙対策の進め方について衛生委員会等で検討し、喫煙対策のための施設、設備等を整備するとともに、喫煙者と非喫煙者が守るべき行動基準(以下「喫煙行動基準」という。)を定め、全員の参加の下で喫煙対策を確実に推進する必要がある。

 さらに、喫煙対策の方法としては、事業場全体を常に禁煙とする方法(全面禁煙)、時間帯を定めて事業場全体を禁煙する方法(時間分煙)及び喫煙室でのみ喫煙を認める又は喫煙対策機器等の設置によってたぱこの煙の拡散を制御し、受動喫煙を防止する方法(空間分煙)の3つの方法があるが、喫煙者と非喫煙者の間で合意を得やすい空間分煙を進めることが適切である。

3 経営首脳者、管理者及ぴ労働者の果たすべき役割  このページのトップへ

 職場における喫煙対策は組織の中で実施されるものであることから、当該組織における関係者たる経営首脳者、管理者及び労働者が協力して取り組むことが重要であり、それぞれ次の役割を果たすよう努めること。

(1)経営首脳者

 喫煙対策についての経営首脳である者(以下「経営首脳者」という。)の基本方針と姿勢は、職場における喫煙対策の成否に大きな影響を与える。このため、経営首脳者は、喫煙対策に強い関心をもって、適切な喫煙対策が労働者の健康の確保と快適な職場環境の形成を進めるために重要であることを、機会のあることに全員に周知するとともに、対策の円滑な推進のために率先して行動すること。

 また、経営首脳者は、衛生委員会等の場を通じて、労働者の喫煙対策についての意見を十分に把握すること。

(2)管理者

 管理職にある者(以下「管理者」という。)の喫煙対策に関する考え方がその職場の喫煙対策の推進に大きな影響を与えることから、管理者は喫煙対策に積極的に敢リ組むこと。

 また、管理者は、喫煙行動基準に従っていない者に対しては適切な指導を行うこと。

(3)労働者

 喫煙対策は、職場の労働者自らが推進することが特に重要であることから、労働者は、喫煙対策について衛生委員会等の代表者を通じる等によリ、積極的に意見を述べるようにすること。

 また、労働組合は、経営首脳者に対する喫煙対策の推進の働きかけ、労働者の喫煙に関する要望等の集約、労働者に対する分煙や健康管理等に関する喫煙教育への参加勧奨等を行うことにより、事業者が行う喫煙対策が円滑に推進されるよう支援することが望ましいこと。

4 喫煙対策の推進計画  このページのトップへ

 喫煙対策を推進するに当たっては、職場における喫煙の実態、職場の空気環境の測定結果、喫煙に関する労働者の意見等喫煙についての現状とその問題点を明確にするとともに、その問題点を解決する具体的な方法等について、当面の計画及び中長期的な計画を策定すること。

 この場合、これらの計画については、経営首脳者の指導の下に、労働者の積極的な協力を得て衛生委員会等で十分に検討し、確実に実施できるものとすること。

5 喫煙対策の推進体制  このページのトップへ

 喫煙問題を喫煙者と非喫煙者の個人間の問題として、当事者にその解決を委ねることは、喫煙者と非喫煙者の人間関係の悪化を招くなど、問題の解決を困難にする可能性がある。

 このような事態が生ずることを避け、喫煙対策を効果的に進めるには、事業者の責任の下に労働衛生管理の一環として、次のとおリ喫煙対策の推進体制を整備すること。

(1)喫煙対策委員会

 喫煙対策は、職場における喫煙者と非喫煙者との人間関係も含めて複雑な要素を有していることから、これを円滑に実施するため、衛生委員会等の下に衛生担当者、喫煙者、非喫煙者等で構成する「喫煙対策委員会」を設置し、喫煙対策を推進するための合意形成を行う方法を検討するとともに、喫煙対策の具体的な進め方、喫煙行動基準等を検討し、衛生委員会等に報告すること。

(2)喫煙対策の担当部課等

 事業者は、喫煙対策の担当部課やその担当者を定め、喫煙対策委員会の運営、喫煙対策に関する相談、苦情処理等を行わせるとともに、各職場における喫煙対策の推進状況を定期的に把握し、問題がある職場について改善のための指導を行わせるなど、喫煙対策全般についての事務を所掌させること。

6 施設・設備  このページのトップへ

 施設、設備面の対策として、喫煙室や喫煙コーナー(以下「喫煙室等」という。)の設置等を行うこと。

 事業場における建築物の新設や増改築の場合は設計段階から空間分煙を前提とした喫煙室等の設置に配慮し、既存の建築物については創意工夫によって喫煙室等の設置を図ること。この場合、喫煙室等は、喫煙者の利用しやすさを考慮して、就業する場所の近くに設けることが望ましいこと。

 さらに、喫煙室等には、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式又は空気清浄装置でたばこの煙を除去して屋内に排気する方式の喫煙対策機器(以下「有効な喫煙対策機器」という。)を設置し、これを適切に稼働させるとともに、その点検等を行い、適切に維持管理すること。

 事務室等個々の場所については、それぞれ次の措置を講ずることにより、受動喫煙が避けられるようにすること。

 なお、たばこの臭いについての対策についても配慮することが望ましいこと。

(1)事務室

 喫煙する場合は、喫煙室等で行うこととし、事務室全体に有効な喫煙対策機器を設置した場合に限り、当該事務室での喫煙を可能とすること。

(2)会議室

 喫煙する場合は、喫煙室等で行うこととし、会議室全体に有効な喫煙対策機器を設置した場合に限り、当該会議室での喫煙を可能とすること。

(3)応接室

 有効な喫煙対策機器を設置し、応接室での喫煙を可能とすること。これが困難な場合は、外来者に非喫煙への協力を求めること。

(4)食堂

 食事時間は食堂を非喫煙場所とすること。ただし、喫煙場所と非喫煙場所を区画し、喫煙場所に有効な喫煙対策機器を設置する場合に限り、当該食堂での喫煙を可能とすること。

(5)休憩室、リフレッシュルーム

 喫煙する場合は喫煙室等で行うこととし、有効な喫煙対策機器を設置した場合に限り、当該休憩室、リフレッシュルームでの喫煙を可能とすること、なお、喫煙者用と非喫煙者用の休憩室等を別に設置することが望ましいこと。

(6)廊下・エレベーターホール等の共同使用区域禁煙とすること。

7 職場の空気環境  このページのトップへ

 たばこの煙が職場の空気環境に及ぼしている影響を把握するため、事務所衛生基準規則に準じて、職場の空気環境の測定を行い、浮遊粉じんの濃度が0.15mg/立方メートル以下及び一酸化炭素の濃度が10ppm以下となるように必要な措置を講じること。

 なお、測定方法等については、別紙「職場の空気環境の測定方法等」を参考とすること。

8 喫煙に関する教育等  このページのトップへ

 事業者は、管理者や労働者に対して、受動喫煙による健康への影響、喫煙対策の内容、喫煙行動基準等に関する教育や相談を行い、喫煙対策に対する意識の高揚を図ること。

 また、事業者は、喫煙者に対して、自らのたばこの吸い殻等の処分を適宜行うよう指導することや、定期健康診断等の機会に喫煙による健康への影響等に関して医師、保健婦等による個別の相談、助言及び指導が行われるようにすることが望ましいこと。

9 喫煙対策の評価  このページのトップへ

 職場における人間関係の中では、非喫煙者が同じ職場内で喫煙行動基準に従わない者の喫煙行動について是正を直接求めることは困難な場合がある。

 このため、喫煙対策の担当部課等が定期的に喫煙対策の推進状況及び効果を評価すること。

 なお、喫煙対策の評価については、その結果を経営首脳者や衛生委員会等に報告し、必要に応じて喫煙対策の改善のための提言を行うことが望ましいこと。

10 その他喫煙対策を進める上での留意事項  このページのトップへ

(1)喫煙者と非喫煙者の相互理解

 喫煙対策を円滑に推進しるためには、喫煙者と非喫煙者の双方が相互の立場を十分に理解することが必要であること。

 喫煙者は、非喫煙者の受動喫煙に十分な配慮をし、一方、非喫煙者は、喫煙者が喫煙室等で喫煙することに対して理解を示すことが望まれること。

(2)妊婦等への配慮

 妊婦及び呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者については、受動喫煙による健康への影響を一層受けやすい懸念があることから、空間分煙の徹底を行う等により、これらの者への受動喫煙を防止するため格別の配慮を行うこと。

(3)喫煙対策の周知

 喫煙対策の周知を図るため、ポスターの掲示、パンフレットの配布、禁煙場所の表示等を行うこと。また、これらによリ外来者へも喫煙対策への理解と協力を求めること。

(4)情報の提供等

 喫煙対策の担当部課等は、各職場における喫煙対策の推進状況、他の事業場の喫煙対策の事例、喫煙と職場の空気環境に関する資料、受動喫煙による健康への影響に関する調査研究等の情報を収集し、これらの情報を適宜、衛生委員会等に提供すること。

 また、効果のあった職場における喫煙対策の事例等の情報は、積極的に外部に公表することが望ましいこと。


別 紙  このページのトップへ

職場の空気環境の測定方法等

1 測定の目的

 喫煙対策を実施する前の職場の空気環境の把握並びに喫煙対策の効果の把握及び維持管理を目的として、職場の空気環境中の浮遊粉じんの濃度及び一酸化炭素の濃度の測定を行う。


2 測定の種類等

 測定には、喫煙対策の実施前に行うもの、喫煙対策の実施後に行うもの及び喫煙対策の効果を維持管理するために行うものがある。

(1)喫煙対策実施前に行う測定

 喫煙対策を実施する前に行う測定は、喫煙が行われている室等を対象として通常の勤務状態の目について最低1日以上実施すること。

 なお、当該室において喫煙者数の増減がある場合は、喫煙者数が多い日と少ない日について、それぞれ1日以上実施すること。

(2)喫煙対策の実施後に行う測定

 喫煙対策の実施後に、その効果を確認するために行う測定は、分煙等の喫煙対策実施後において、非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界付近を対象として、通常の勤務状態の日について最低1日以上実施すること。

 また、喫煙対策実施後に喫煙対策機器等を変更した場合についても同様に実施すること。

(3)喫煙対策の効果を維持管理するために行う測定

 喫煙対策の効果を維持管理するための測定は、非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界付近を対象として、四季による室内の温度の変化の影響等を考慮して3月以内ごとに1日以上、定期的に測定日を設けて実施すること。また、労働者等から特に測定の希望のあった場合には、上記(2)に準じて実施すること。

 なお、測定の結果が良好な状態で1年以上継続した場合は、衛生委員会等によリ検討を行い、適宜、測定実施頻度を減らすことができること。


3 測定回数

 事務室については、その通常の勤務時間中において、一定の時間の間隔ごとに、1日最低3回以上測定を行うこと。この場合、始業後おおむね1時間、終業前おおむね1時間及びその中間の時点(勤務時間中)に実施することが望ましいこと。また、経時的な変化等を把握するためには、測定回数を多くすることが望ましいこと。

 なお、喫煙室等、休憩室、食堂等については、その室等の使用時間中に最低1回以上測定を行うこと。


4 測定点等

 測定点は、原則として室内の床上約1.2メートルから約1.5メートルまでの間の一定した高さにおいて、室等における事務機器等の設置状況、空気調和設備の方式、床面積等の状況に応じて設定するが、1室について5点以上設定すること。ただし、喫煙室についてはこの限りではないこと。

 なお、たばこの煙が滞留している個所又は労働者等から特に測定の希望があった個所については、上記とは別に測定点を設定すること。


5 評価等

 各測定点における各測定回ごとの測定値によって、経時的な変化等を把握し、浮遊粉じんの濃度が0.15mg/立方メートル以下及び一酸化炭素濃度が10ppm以下となるように職場の管理を行うこと。

 なお、測定結果は3年間保存すること。


6 測定機器

 浮遊粉じんの濃度の測定については較正された相対濃度計又は分光ろ紙じん挨計を、一酸化炭素の濃度については検知管又はこれと同等以上の性能を有する機器を用いて測定すること。

 なお、浮遊粉じんの濃度の測定に相対濃度計を用いる場合は、1回の測定につき、1分間隔で連続10分間以上測定することとし、質量濃度変換係数を用いて濃度に換算すること。