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目次 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章 第6章 第7章 付録 図表目次

たばこ流行の抑制 たばこ対策と経済

第5章

たばこの供給削減策

 たばこの需要が削減できるという例は数多くあるが、供給削減に成功したという例はそれに比べはるかに少ない。ここではたばこの入手方法を規制し、貿易規制や農業政策によって供給を削減しようとした国々での実例を簡単に述べることにしよう。この章の後半では、国がたばこの供給を削減できる重要な方法、すなわち密輸取り締まりについても論じる。

供給サイドの介入の効果には大半の場合限界がある

ある品物の供給者が営業を妨げられた場合、その品物を売るための強い誘因がある限り、別の供給者が代わりにすぐ現われる、というのが市場の基本である。ここで論じていくように、現在たばこの供給には明らかに誘因がある。

たばこの製造販売禁止

たばこが健康に害を与える力は他とは比べようもないため、公衆衛生活動家の中には、たばこの問題は消費ではなく生産にあるのだとして、たばこの製造販売禁止を求める者もいた。たばこ禁止運動家は、20世紀に入りアルコール類の供給が規制された時、アルコールに関連した病気が著しく減少したことを指摘する。たとえば、第2次世界大戦中、フランスのパリでアルコール類の供給が規制された時、その消費は1人当たり80%も減少した。男性の肝臓病による死亡は1年間で半減し、5年で5分の1に減少した。戦後アルコール類が自由に手に入るようになると、肝臓病による死亡率は戦前のレベルに戻ったという。
しかし多くの理由から、たばこの製造販売禁止は、実行可能性が低く効果も少ないと思われる。第1に、多くの非合法薬物がそうであるように、アルコールや薬などの物質はたとえ禁止されたとしても、相変わらず広く用いられるのである。第2に、製造販売禁止は独自の問題を生む。すなわち、犯罪活動を増加させ、費用のかかる警察の取り締まりが必要となる可能性が高いのだ。第3に、経済的な見地から言うと、たばこの適正消費量はゼロではない。第4に、たばこの製造販売禁止はほとんどの国で政治的に受け入れられないであろう。インドでは先ごろ、グトカという噛みたばこを禁止しようとしたが失敗に終わっている。その主な理由は禁止に対する政治的な反発にあった。

青少年に対するたばこ販売規制

高所得諸国では十代の若者への紙巻たばこ販売を規制する多くの試みがなされてきたが、現在のところこのような規制が成功しているとは言えない。一般に、青少年に対する規制は実行が困難である。特に十代の若者たちは年上の仲間や、時には親から紙巻たばこを入手することが多いからである。さらに、たばこの消費が増加している低所得諸国では、このような規制を実施し守らせるために必要なシステムやインフラ、およびノウハウが、高所得諸国よりはるかに少ないのである。

転作および多角経営化

葉たばこを栽培している国は100カ国を越え、そのうち約80カ国は発展途上国である。中国、米国、インド、ブラジルの4カ国で、世界総生産の3分の2を占めている。1997年には、中国が葉たばこ全体の42%を、米国、インド、ブラジルの3カ国で約24%を栽培した。上位20カ国で世界総生産の90%以上を生産している(表5.1参照)。ここ20年間で、高所得諸国による世界生産のシェアは30%から15%に低下し、代わって中東およびアジア諸国のシェアが40%から60%に上昇した。アフリカのシェアは4%から6%に伸び、その他の地域に関してはほとんど変化はない。
中国で生産された葉たばこのほとんどは国内市場用であるが、他の大手生産

表5.1 葉たばこ生産上位30カ国
1997年資料、生産量による順位
国名 生産量
(単位:1000トン)
1994年に対する生産の変化 世界総生産に占める割合
(単位:%)
作付け面積
(単位:1000ヘクタール)
世界の総作付け面積に占める割合
(単位:%)
輸出の割合a
(単位:%)
輸入の割合b
(単位:%)
たばこの輸出収入
(1995年の総輸出収入に占める割合)
中国 3,390.0 51.5 42.12 1,880.0 38.4 2.9 4.7 0.68
米国 746.4 4.0 9.27 328.4 6.7 35.5 7.4 0.55
インド 623.7 18.1 7.75 420.2 8.6 23.2 c 0.44
ブラジル 576.6 30.5 7.16 329.5 6.7 77.0 0.2 2.55
トルコ 296.0 57.7 3.68 323.0 6.6 89.3 0.5 1.17
ジンバブエ 192.1 8.0 2.39 99.3 2.0 109.7 c 23.05
インドネシア 184.3 15.2 2.29 217.5 4.4 10.2 27.6 0.42
マラウィ 158.6 61.7 1.97 122.3 2.5 74.2 c 60.64
ギリシャ 132.5 -2.2 1.65 67.3 1.4 74.5 12.8 2.05
イタリア 131.4 0.3 1.63 47.5 1.0 78.7 18.3 0.04
アルゼンチン 123.2 50.3 1.53 71.0 1.5 60.6 5.1 0.59
パキスタン 86.3 -14.0 1.07 45.9 0.9 1.6 c 0.08
ブルガリア 78.2 124.3 0.97 48.5 1.0 53.5 58.3 5.40
カナダ 71.1 -0.5 0.88 28.5 0.6 24.0 12.6 0.04
タイ 69.3 17.4 0.86 47.0 1.0 48.5 15.3 0.11
日本 68.5 -13.8 0.85 25.6 0.5 0.5 145.4 0.04
フィリピン 60.9 8.7 0.76 29.4 0.6 17.2 18.3 0.17
韓国 54.4 -44.8 0.68 27.2 0.6 8.4 26.2 0.02
メキシコ 44.3 -35.1 0.55 25.4 0.5 31.8 8.3 0.11
バングラデシュ 44.0 -26.7 0.55 50.3 1.0 c 16.1 0.03
スペイン 42.3 0.1 0.53 13.3 0.3 53.9 126.7 0.06
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表5.1 葉たばこ生産上位30カ国(つづき)
1997年資料、生産量による順位
国名 生産量
(単位:1000トン)
1994年に対する生産の変化 世界総生産に占める割合
(単位:%)
作付け面積
(単位:1000ヘクタール)
世界の総作付け面積に占める割合
(単位:%)
輸出の割合a
(単位:%)
輸入の割合b
(単位:%)
たばこの輸出収入
(1995年の総輸出収入に占める割合)
ポーランド 41.7 -3.3 0.52 19.0 0.4 6.9 66.4 0.12
キューバ 37.0 117.6 0.46 59.0 1.2 13.5 0.8 N.A.
モルドバ 35.8 -15.8 0.45 17.2 0.4 61.4 6.7 6.90
ベトナム 32.0 N.A. 0.40 36.0 0.7 N.A. N.A. 0.04
ドミニカ共和国 30.3 41.7 0.38 21.2 0.4 58.1 2.2 5.26
マケドニア 30.0 N.A. 0.37 22.0 0.4 N.A. N.A. 5.44
キルギスタン 30.0 -33.3 0.37 12.0 0.2 76.7 3.3 6.96
南アフリカ 29.0 -1.4 0.34 14.9 0.3 41.5 55.5 0.31
タンザニア 25.1 15.1 0.31 N.A. N.A. 55.8 c 4.53
世界 計 8,048.4 25.9 100.0 4,893.8 100.0 25.3 24.4
a. 国内生産に対する輸出の割合
b. 国内生産に対する輸入の割合
c. 0.1%未満
N.A.=不明

出典: van der Merwe, Rowena, and others. The Supply-side Effects of Tobacco Cotrol Policies. 背景報告書。(データはThe Food and Agricultural Organization:米国農務省、その他による。)


国は大部分を輸出用にまわしている。ブラジル、トルコ、ジンバブエ、マラウィ、ギリシャ、イタリアではいずれも、生産する葉たばこの10分の7以上を輸出している。葉たばこの輸出収入に大きく依存している国はジンバブエとマラウィの2カ国であり、前者では輸出収入の23%、後者では61%を占めている。その他、ブルガリア、モルドバ、ドミニカ共和国、マケドニア、キルギスタン、タンザニアなどの国々は、外貨収入源としてたばこに大きく依存しているが、世界の葉たばこ栽培市場で占める割合は小さい。マラウィ、ジンバブエ、インド、トルコなどの農業経済国にとってたばこは主要な収入源である。
過去を振り返ってみても、たばこは単位耕作地当たりの純益が他の換金作物より高く、また食糧作物に比べてかなり高いため、栽培農家にとって非常に魅力的な作物であった。たとえば、ジンバブエで最高級のたばこを生産している地域では、たばこはその次に利益の大きい作物の6.5倍の利益を上げている。栽培農家にとって、実際的な理由からも、たばこは魅力的な作物なのである。第1に、たばこの世界的価格は他の作物に比べて比較的安定している。価格が安定していれば、農家は将来の計画を立てることができ、たばこの栽培と共に他の事業のための信用も得られる。第2に、たばこ業界はふつう栽培農家に材料やアドバイスなども含めた、強力な現物支給サポートを行なっている。第3に、たばこ産業は栽培農家に融資を行うことが多い。第4に、他の作物は貯蔵、回収、配達などで問題を生じることがあるが、たばこは比較的傷みにくく、業界自体が配達や回収を援助してくれる場合もある。これとは対照的に、他の作物では、回収・支払の遅延や価格変動があるため、栽培農家としてはたばこほど魅力を感じられる作物はないのである。
たばこの代用作物を栽培する実験的な計画も数多くあったが、議論の余地のあるカナダの例は別として、これらの計画がたばこの消費削減に成功したという明らかな証拠はない。これは、現在のたばこ価格を維持できる間は積極的に転作計画に参加する気が栽培農家にはないからであり、また、ある栽培農家が栽培をやめてもすぐ他の栽培農家が取って代わるからである。しかし、貧しい葉たばこ栽培農家が他の方法で生計を立てようとする際の援助になる場合には、たばこの転作がより広範な多角経営化プログラムの中に位置付けられることもある。この問題については次の章で詳しく述べることにする。

価格支援とたばこ生産に対する補助

発展途上国はたばこの輸出収益に課税するところが多いが、米国や欧州連合加盟国などの高所得諸国および中国は、伝統的に葉たばこ栽培農家に価格支援やその他の補助を与えている。たばこ生産に補助を与えるのは、高価格を安定させ、家族経営の小規模農家を支援し、海外からのたばこ輸入を抑えて外貨を蓄え、政治的支援を維持するためである。これらの補助は輸出規制と共に実施されることが多い。
高所得諸国の政府は、栽培農家に対するこうした価格支援政策を行って、たばこおよびたばこ製品の世界価格を人為的に引き上げている。経済学者たちは、このように価格が引き上げられると必ず、喫煙者には消費削減という反応が起きると主張してきたが、実際にはそのような消費削減の効果はあまりなく、たとえあったとしてもそれは非常に小さいことが明らかになっている。米国などほとんどの高所得諸国では、葉たばこの栽培者価格は紙巻たばこ価格のほんの一部に過ぎない。さらに低価格のたばこの輸入量も増えている。そのため、このような価格支援と補助を行なっても、結局1箱当たりの価格はほとんど違わないのである。最近の研究で、これらのプログラムによる米国でのたばこ価格上昇率は1%であることが示された。この程度の増加では消費にほとんど影響を与えることはない。したがって補助をやめても紙巻たばこ消費が大幅に上昇することはないであろう。
価格支援や補助をやめるとたばこの世界生産にどんな影響があるかは明らかではない。米国で国内価格が高くなれば、原料となる葉たばこの世界価格が引き上げられて、低所得諸国の栽培農家により大きな利益を与えることになるかもしれない。また一方で、補助と貿易規制の両方が撤廃された場合、低所得諸国の栽培農家に対する影響は好悪とりまぜたものになるだろう。たとえば、価格面の支援がなくなって米国の国内生産たばこの価格が低下すると、同国の紙巻たばこ製造者はその状況を利用して、低所得国から輸入する低品質の葉たばこの輸入を減らすかもしれない。しかし同時に、貿易の自由化に伴い、このようなたばこの輸入が増加することもありうる。
消費に与える影響が非常に小さいことはさておいても、このような価格支援や補助は、健全な農業・貿易政策という枠組みの中ではあまり意味を持たない。価格支援や補助が持つ最大の機能は、たばこ生産に既得権を持つ人々の数を増やすという政治的なものであろう。

国際貿易の規制

自由貿易は消費者の選択の幅を増やし、生産の効率化を促してきた。自由貿易が低・中所得諸国の経済成長をもたらすことは、多くの研究で明らかになっている。そのため一般的に自由貿易をよしとする議論が盛んに行なわれているが、たばこは他の貿易消費財に比べ健康に有害であることは明白である。政策立案者にとって大きな問題は、大きな恩恵をもたらす自由貿易を危険にさらすことなく、いかにたばこを管理するかである。第1章で見たように、貿易の自由化は低・中所得諸国のたばこ消費の増加に寄与してきた。ならば、貿易規制がその増加を阻むというのは論理的に正しいように思えるかもしれない。しかしこのような規制が望ましからぬ結果を招くことになるのにはいくつも理由がある。主な理由のひとつとして、規制が報復行動の原因となり、そのために経済成長や収入が減少する場合もあることがあげられる。一方、貿易の自由化により「GATT(関税と貿易に関する一般協定)」を通じた国際的反応が生じている。GATTでは各国が国民の健康を守る措置を採択し実行する権利を認めている。その際、この措置が国内製品にも輸入品にも等しく適用されることが条件となる。GATTの第20条では、人の健康を守るために必要な措置は自由貿易の要求によって妨げられてはならないとはっきりうたっている。
1990年に、タイでは紙巻たばこの輸入と広告を禁止しようとしたが、米国のたばこ会社各社はただちにこの動きに異議を申し立てた。GATTの審査委員会は状況を調査し、タイが紙巻たばこの輸入を禁止することはできないという裁決を出した。しかし、課税、広告禁止、価格規制は行なえるとし、さらにタイでたばこ製品を販売しているすべての製造者に対して、その製品に強い口調の警告表示と成分の詳細な表示を要求できるとした。GATTの審査委員会によるこの裁決は、国内産、外国産を問わず一律に適用されるのであれば、タイは国内のすべてのたばこ製品の販売を禁止することも可能だという解釈さえできるものであった。以後、タイは広告および販売促進活動を包括的に禁止し、強い口調の警告表示を紙巻たばこの箱に貼付するなど、強力な需要削減策を実行した。この画期的な裁決とタイの素早い断固たる対応は、自由貿易の原則を遵守しながらも国民の健康を守るためにたばこの需要を削減しようとする国々にとって先例を打ち立てることとなった。

密輸に対する断固たる行動

紙巻たばこの密輸は深刻な問題である。研究によると、国際的に輸出されている紙巻たばこの約30%(約3,550億本)は密輸に消えてしまうという。これは国際的に取引されているほとんどの消費財に比べてはるかに高い数字である。隣接する州や国との課税率の格差が大きかったり、汚職がはびこっていたり、密輸品販売が容認されているようなところでは事態は深刻である。ここでは、密輸問題の範囲について簡単に述べ、その抑制策の選択肢を検討してみよう。密輸抑制の第1の利点は、それがたばこの供給を削減するからではなく、効果的に値上げを実行でき、なおかつ需要の削減をはかれるからである。
国や州によって紙巻たばこの価格に差がある場合は、明らかに密輸を誘発する。しかし密輸を行なわせる決定要素は価格だけではないようである。この報告書のために行われた研究では、その国の一般的な汚職の程度など、他の要素が密輸問題の規模にどれほど関わっているかを調べた。この研究では、トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)の「国別指数(Index of Countries)」に基づいた汚職の程度の標準指数を使って調査した結果、顕著な例外はあるものの、たばこ密輸のレベルはその国における汚職の度合いにしたがって上昇する傾向があると結論づけている(図5.1)。



図5.1 汚職の度合にしたがって増加するたばこの密輸
透明度指数(transparency index)の関数としての密輸

出典:Merriman, David, A. Yurekli, and F. Chaloupka'' How Big Is the Worldwide Cigarette Smuggling Problem?'' NBER Working Paper. Cambridge, Mass.: Nations Bureau of Economic Research近刊予定。


大規模なたばこの密輸を可能にしているのは、密輸たばこを密輸先の国で販売するためのかなり精巧な流通システムを持つ犯罪組織の存在と、紙巻たばこの国際流通に対する管理の欠如である。密輸たばこは大半が国際的に有名なブランドであり、そこには巨額の資金が絡んでいる。密輸組織はコンテナ1台分の紙巻たばこ1,000万本を税抜き価格の20万ドルで買うことができる。これだけの量の紙巻たばこなら、それにかかる物品税、付加価値税(VAT)および輸入税を入れると、欧州連合の場合、少なくとも100万ドルに相当する。このように密輸業者の得る利益は非常に高いため、長距離の輸送費も十分まかなえるのである。
紙巻たばこの密輸は普通、生産国から正式な輸出相手国へ輸送される際に行われる。国家間貿易を促進するため、いわゆるトランジット・システムで、A国からB国へ輸送する品物が、C国、D国などを通過する時、これらの品物にかかる関税、消費税および付加価値税を臨時に免除する措置をとる。しかし、無許可の業者がそれを売買してしまうため、多くの紙巻たばこは輸出相手国まで届かない。また別の密輸形態はいわゆる「一周遊行」というもので、隣接諸国との価格差が大きい場合に行われる。たとえば、カナダ、ブラジル、南アフリカから輸出された紙巻たばこが隣接諸国に入国し、その後税抜きの安売り価格で生産国に出回ったという記録がある。
密輸が成功するのは、紙巻たばこが短期間に多くの所有者の手を通過するためで、これによって実質上その移動経路を追跡することができなくなるからである。さらに、違法販売を厳しく取り締まることが、事実上できなかったり、その販売が合法か違法かの区別が困難な場合も密輸業者のリスクは小さくなる。ロシアや多くの低所得国などでは、紙巻たばこのほとんどが道端で売られているのがそのよい例であろう。
経済理論によると、密輸が存在することでたばこ産業自体も恩恵を受けることになるという。密輸の影響についての研究では、密輸たばこが総販売数の大きな割合を占めるようになると、課税・非課税分も含めてすべての紙巻たばこの平均価格は低下し、紙巻たばこ全体の売上が増加することが示されている。これまで輸入ブランドを締め出していた市場に密輸たばこが出回ると、これらのブランドへの需要が高まり、その結果市場シェアも伸びることになる。また、国に対しては課税率を低く抑える効果もある。
密輸防止措置は様々だが、その効果については、現在のところ、経験も少なく研究もあまり行われていない。しかし、政策立案者はいくつかの選択肢を検討することができよう。第1に、箱入り紙巻たばこが合法か違法かを、消費者や警察が今より素早くはっきりと見分けることができるようにする。たとえば、税関通過品には偽造が困難で一目でそれと分るような税印紙を貼り付けたり、免税品の箱は特別な包装にするというものだ。また、現地の言語で書かれた、強い口調の様々な警告表示を貼り付けることも、合法か違法かを見分けるのに役に立つ。第2に、現在、起訴されるリスクは低いと考えている者たちが躊躇するほど、密輸の刑罰を重くする。第3に、製造者と消費者の間に介在するすべての業者を許可制にする。フランスとシンガポールでは、すでにこの措置が取られている。第4に、追跡調査ができるよう、すべての紙巻たばこの箱に通し番号を付けるよう製造者に義務づける。日進月歩の技術をもってすれば、箱に印をつけることによって流通業者、卸売業者、輸出業者についての情報を得ることもできる。第5に、自社の製品が正式な最終目的地に届いたかどうかを確認するため、これまでより踏みこんだ記録をつけることをメーカーに義務づける。コンピューター化された管理システムがあれば、各国は個々の積荷の追跡や経路の調査がいつでもできるはずだ。香港ではすでにこのようなシステムが使用されている。第6に、箱に最終目的地名の表示を貼り、その国の言語で書かれた警告表示を箱に印刷することを輸出業者に義務づける。国際企業が地元で紙巻たばこを製造している場合、そのことも箱の上に記載して、密輸たばこの摘発と密輸に対する意識高揚に役立てる。多くの国では密輸防止活動が活発になってきている。たとえば、英国はこのほど、酒とたばこの密輸を撲滅するため5,500万ドルかけた総合対策を発表した。これに伴い、新しく専門の役職も設けられている。経験を積めば、密輸の被害を受けているすべての国々で、さらに効果の高い抑制策を取ることができるようになるだろう。


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