21世紀のたばこ対策検討会(第1回)
2-1 精神活性物質の使用と社会的規制
| 精神活性物質は、歴史的には社会的に受容された時期もあったが、一般的に規制が強化されつつある。 |
●人類は自然界に様々な精神活性物質*を見出し、その精神活性作用を儀式用の意識変容物質、医薬品、嗜好品などとして利用してきたが、合成物質の登場や濫用の結果として社会的な問題や健康上の被害が明らかになるにつれて、社会的規制の対象となってきた(表1、表2) 1。
(*脳に作用して、気分、不安、行動、弁別過程、精神的緊張などを変容する作用を有する化学物質)
● 代表的な規制薬物であるコカインは、紀元前数千年前よりコカ葉が麻酔に用いられており、インカ帝国では疲労や空腹の特効薬として奴隷に与えられ、現在でも南米諸国ではコカ葉を噛む風習が残っている。1859年にコカインの結晶が単離され、コカイン入りワイン、シガレット、錠剤、コカ飲料などが商品化された。医療関係者や著名人なども、コカインやこれらの商品を常用したといわれている1。
● コカインによる中毒や死亡事故が相次いだため、1906年米国でコカ葉の輸入禁止、コカイン含有製品の規制が法制化され、1914年に麻薬取締法で販売・製造・所持が規制されるようになった。1970年代後半から、米国を中心として、アルカリ化により吸収効率を高めた「クラック」などのコカイン濫用が再び問題となっている1。
表1 代表的な規制薬物と使用形態の変遷
| コカイン | コカ葉、コカインの精製、コカコーラ、局所麻酔、「クラック」 |
| あへん系麻薬 | あへん、モルヒネの精製、ヘロインの合成 |
| 大麻 | マリファナ、ハッシシ |
| 覚せい剤 | メタンフェタミン・アンフェタミンの合成、「ヒロポン」・「突撃錠」 |
[依存性薬物情報研究班、依存性薬物情報シリーズNo.1,2,3,4]
| 名称・通称 | 取締法 | 名称・通称 | 取締法 |
| コカイン | 麻薬及び向精神薬取締法2 | 覚せい剤 | 覚せい剤取締法 |
| ヘロイン | 麻薬及び向精神薬取締法 | 大麻(マリファナ) | 大麻取締法 |
| 睡眠薬 | 麻薬及び向精神薬取締法 | 有機溶剤(一部) | 毒物及び劇物取締法5、有機溶剤中毒予防規則6 |
| LSD | 麻薬及び向精神薬取締法 | アルコール | − |
| MDMA(エクスタシー) | 麻薬及び向精神薬取締法 | たばこ | (ニコチン:毒物及び劇物取締法) |
| 国際的な協力の下に規制薬物に関わる不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)7 | |||
| 国際条約 | 麻薬に関する単一条約(単一条約)8 | 1961年採択・1964年発効 | 麻薬、あへん、大麻 |
| 向精神薬に関する条約(向精神薬条約)9 | 1971年採択・1976年発効 | 幻覚剤、鎮痛剤、覚せい剤、睡眠薬、精神安定剤等 | |
| 麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(麻薬新条約)10 | 1988年採択 | ||
| 国際機関 | 国連:国連総会(GA)、国連経済社会理事会(ECOSOC)、国連麻薬委員会(CND)、国際麻薬統制委員会(INCB)、国連薬物統制計画(UNDCP)、国連貿易開発会議(UNCTAD) | ||
| 世界保健機構(WHO):依存性薬物専門家会議、薬物濫用対策計画(PSA) | |||
| 国際オリンピック委員会(IOC):カルガリ勧告11 | |||