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第11回

厚生省保健医療局健康増進栄養課

たばこ煙と空気清浄機

 環境汚染への関心が高まる中、「水と空気はただ」という感覚は過去のものとなり、浄水器や空気清浄機など、きれいな水や空気のために国民がコストを支払う時代となってきました。厚生省の「公共の場所における分煙のあり方検討会報告書」や労働省の「職場における喫煙対策のためのガイドライン」等においても、環境たばこ煙による健康影響や不快感を低減するために、分煙機器あるいは喫煙対策機器といわれる空気清浄機能を持った機器の積極的な活用が望まれています。

 「空気清浄機」は用途別に、業務用、家庭用、車載用に分けられ、特に、販売価格数万円台の家庭用の需要が著しく拡大しています。メー力−出荷段階の市場規模は1995年推計で、業務用217億円、家庭用237億円、車載用61億円が、2000年にはそれぞれ、370億円、530億円、71億円になると試算されています(矢野経済研究所)。

 受動喫煙の害や不快感を低減させるために求められる「分煙機器」の性能は、環境たばこ煙中の有害物質及び臭気を取り除く集塵性能と脱臭性能です。さらに、作動中に発生するオゾンの放出はなるべく抑えられる必要があります。家庭用空気清浄機については、(社)日本電機工業会の団体規格が、たばこの煙を対象にした測定試験を設けていますが、大型の業務用空気清浄機については、既存の国家規格JlSや(社)日本空気清浄協会の団体規格では環境たばこ煙に対応できません。環境中のたばこの煙に含まれるベンズピレンやたばこ特異的二トロンアミンなどの発がん物質、その他の有害物質、またアンモニアなどの悪臭源が確実に除去できるような性能について、規格基準の検討が求められています。

 しかし、このような空気清浄機も、設置場所の条件によって性能は大きく影響を受けるので、環境条件に適した機種を選定しなければなりません。さらに重要なことは、たばこの煙に含まれる種々のガス、特に一酸化炭素や窒素酸化物は、換気設備を伴わない空気清浄機では除去できないので、換気を十分に行わないと、これらのガスが徐々に蓄積してしまうことです。最も効果的で安価な環境だは二煙対策は「換気」である二とに、もう一度留意すべきでしょう。従って、換気が確保できないスペースでは、分煙機器に頼るよりは、できるだけ禁煙とし、別に喫煙場所を設けるのが望ましいと思います。最後に、分煙機器の導入による「分煙」は最終目標ではなく、喫煙者も非喫煙者も、より快適で健康な公共環境を目指して、意識のステップアップをはかりたいものです。