もどる



第15回

厚生省保健医療局健康増進栄養課

ニコチン依存症の概念


 「たばこ病」の本質はいうまでもなくニコチンの依存症にあります。しかし、医学的に本格的な概念設定がされてからはまだ日が浅く、以下にその歴史をまとめてみます。

1977年

  • 世界保健機関(WHO)「国際疾病傷害分類」第9版(ICD9)より

    「たばこ」が非依存症薬物乱用に分類されました。

1980年

  • 米国精神医学会「精神障害診断統計マニュアル」(DSM III)より

「たばこ依存」という言葉が登場しました。

1988年

  • 米国公衆衛生総監「喫煙の健康影響−ニコチン依存」より

「紙巻たばこや他のたばこは依存性があり、ニコチンがたばこの依存症の原因薬物である」と指摘されました。

1988年

  • 米国精神医学会「精神障害診断統計マニュアル」改訂版(DSMmR)より

「ニコチン依存症」と呼称されることとなり、次のような診断基準が示されました。

1か月以上のたばこ継続使用歴があり、

  1. 長期禁煙や節制が不可能である
  2. 喫煙中止時に退薬症候が発現する
  3. たばこ使用による身体疾患存在下でも使用を続ける

の少なくとも1つを満たすこと

1993年

  • WHO「国際疾病傷害分類」第10版(ICD10)より

アルコール、麻薬、コカインなどの依存症薬物と並び、ニコチンが「V.精神と行動の傷害」の中の「F17.たばこ使用による精神と行動の傷害」という項目で記載されました。

1996年

  • 米国食品医薬品局(FDA)が「たばこ製品」をニコチンという薬物供給のための医療機器と認定し、未成年への広告・販売の禁止を目的とする大統領命令を発効しました。

このように、たばこ依存の核はニコチン依存(薬理的依存)にあり、そこに心理的依存(社会的・行動的依存)が加わっていると考えられます。ニコチン依存の程度は個人差が大きく、ニコチン・コチニンなどの生体内濃度を測定する方法もありますが、臨床の現場で評価するためのスケールも考案されています。とくに一日の最初のたばこは、就寝中の禁煙状態による退薬症状を緩和するので、ニコチン依存度の重要な目安になります。


TEST

ファガストローム
ニコチン依存度スケール

間1

起床から最初の喫煙までの時間は?

5分以内……3点
6〜30分……2点
1時間以上…0点

間2

禁煙場所でたばこを我慢することがつらいですか?

はい…………1点
いいえ………0点

間3

一日の中で一番やめたくない一服は?

朝一番の一服……………1点
その他の時間の一服……0点

間4

一日に吸う本数は?

31本以上……3点
21〜30本……2点
11〜20本……1点
10本以下……0点

間5

起床後、1時間に吸う本数が残りの1日の本数よりも多いですか?

はい…………1点
いいえ………0点

間6

病床にいても、たばこを吸わずにいられませんか?

はい…………1点
いいえ………0点

質問の合計点数がニコチン依存症の目安となり、6点以上の人は重症です。
さて、あなたのニコチン依存度は何点ですか?