
世界の20歳末満の人口は約20億人ですが、現在の喫煙の傾向が続くと、このうちの非常に多くの者が喫煙を開始し、その結果2億人(10%)の未成年者が、将来肺がんや心筋梗塞などの「たばこ病」で早死にすると推定されています。このように、未成年者に対する喫煙防止対策は、世界的にもたばこ対策における最重点課題です。
「たばこ病」の多くは20年、30年の喫煙習慣の後に発病します。大多数の喫煙者は10代のうちに喫煙習慣を確立しますが、喫煙開始年齢が早いほど、たばこ病のリスクも高くなることがわかっています。
わが国では1900年に「未成年者喫煙禁止法」が制定されていますが、年間の違反者数は、少年の補導件数が約30万人である一方、親権者及び販売店の送検件数は数年来1桁台です。
中高生のたばこの入手方法は、総務庁青少年対策本部で行った「自動販売機等に関する調査」においても、自動販売機が71.0%と上位にあげられており、このような現実からみると、販売禁止法としてはほとんど実体を呈していません。また、中高生の喫煙率は学年が高くなるほど増加し、高校3年では男子の37%、女子の15%の喫煙が全国調査から明らかになっています。このため、未成年者の喫煙防止のためには、禁止法だけによるのでなく、社会全体としての総合的な取組みが必要です。
世界保健機関(WHO)のたばこ対策部門によると、未成年者の喫煙防止のためには次のような規制策がとられるべきであり、多様な形態の健康教育が補完的に行われるべきとされています。
さらに、たばこ税の増税によるたばこの価格上昇は、人口全体のたばこ消費を抑制し、特に未成年者への抑制効果が大きいという報告があります。
未成年者に対する広告や販売の規制(自動販売機の廃止を含む)や価格の値上げなど、未成年の喫煙防止のために厳しい対策がとられている国もあります。特に米国では、1996年8月にたばこを中毒性薬物として認定し、「子どもとたばこ」という以下のような大統領命令が出されました。以下に概略を示します。
販売規制
広告規制
さて、わが国では、昨年まとめられた「たばこ行動計画」の中で、「防煙」対策として、
があげられ、一層の推進が図られています。
具体的には、1.については、厚生省からの要請を受けた文部省において、各都道府県教育委員会への通知によって、教育現場(小中高等学校)での「たばこ行動計画」の周知を図るとともに、日本学校保健会で「喫煙・飲酒・薬物乱用防止に関する指導の手引き」が平成6年度に中学生向けが、平成7年度には高校生向けが、そして平成8年度は小学生向けが作成されて、これを使用した指導が行われることになっています。
また地域、家庭においては、たばこを吸わない世代のための環境づくりの一翼を担う全国22万人の「食生活改善推進員」によって、地域と家庭における喫煙防止教育の実践がなされてきましたが、平成8年度より「妊娠中の喫煙防止対策事業」も始められています。
2.の広告規制については、大蔵省のたばこ事業法第40条の規定に基づいて定められた指針により業界で設けた自主規準によって行われていますが、平成7年10月以降は、それまで深夜に限定して曜日を問わず行われていたテレビ広告を、土曜・日曜については放映しないこととされたほか、広告量の削減、屋外広告看板を設置しない場所の規定、注意文言等の文字の拡大などが順次実施されています。
3.のたばこ自動販売機については、たばこ事業法を所管する大蔵省の指導により、全国たばこ販売協同組合連合会によって、全国的に深夜の稼働を停止することが決められ、平成8年度中完了を目途に現在進められています。
今後、上記の対策を強化し、防煙対策をさらに進めていきたいと考えています。