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第17回

厚生省保健医療局健康増進栄養課

禁煙支援の取組み

<喫煙者の喫煙に対する気もち>

 健康・体力づくり事業財団の実施した「健康づくりに関する意識調査」(平成2年)によると、喫煙者の約70%はたばこを「減らしたい」あるいは「やめたい」と思っているにもかかわらず禁煙できずにいることがわかります(表)。しかし、禁煙に成功しても50〜75%が1年以内に喫煙を再開するなど、一旦確立した喫煙習慣を断ち切るのは容易ではありません。前にも触れたように、喫煙習慣の本質はニコチン依存症であることから、薬物依存の治療としての適切な指導と支援が必要です。

きまざまな禁煙法

 1970年代の欧米では急速喫煙や飽和喫煙などの「嫌悪法」という気もちが悪くなるまで喫煙させ、嫌悪感をもたせて禁煙させる方法もありましたが、ニコチンの大量摂取による副作用のために最近ではあまり行われなくなっています。1980年代以降欧米では、「セルフコントロール法」など新しい学習理論や行動理論に基づいた行動科学的アプローチが採用されました。喫煙者の禁煙への意欲を「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」などの段階に分け、それぞれの段階に適したアプローチを行うものです。「自助法・自習法」は、禁煙しようという意志があればカウンセリングなしでも行われますが、成功率はあまりよくありません。ただし、他の喫煙対策プログラムを組み合わせることにより、多数の人を対象とできるのが特長です。「禁煙コンテスト」も、この方法の一つであり、イベント性をもたせて参加しやすいものとなっています。

「ニコチン代替療法」は、喫煙者に現れるニコチン離脱症状(禁煙症状)に対し、症状緩和の目的で体内のニコチンを補給しながら、ニコチン依存症から離脱させる方法です。適切な禁煙指導プログラムの「補助剤」として、ガムやパッチ、舌下錠、鼻腔スプレーなどのニコチン製剤が開発されています。ニコチンガムは1973年にスウェーデンで開発され、世界では50か国以上で使用されています。日本でも「ニコレット」という商品名で平成6年4月1日より輸入承認され、同年7月1日より発売されました。購入にあたっては医師の処方が必要ですが、現在保険適用になっていません。ガムをゆっくりかむことによりニコチンが口腔粘膜から吸収されますが、副作用として、かみすぎによる吐き気、胸やけ、しゃっくり等の症状があり、禁忌としては、妊娠期、授乳期、重症不整脈、虚血性心疾患、鬱病、アルコール依存症等があります。

禁煙への第一歩

 現状の問題点は、このような取組みは全国的には緒についたばかりであり、禁煙支援を行う機関やマンパワーが少ないことです。そこで、厚生省では平成8年度より、禁煙指導者研修会を関催したり、禁煙支援に関連するたばこ情報等をインターネット(愛称:健康ネット、平成9年3月開始予定、https://www.health-net.or.jp/)等により提供する健康情報ネットワーク事業を行うこととしています。さらに、平成9年度より都道府県や市町村での断たばこ教室事業を行うこととしています。

 禁煙を希望する人は、保健所や市町村の禁煙教室や医療機関の禁煙外来(全国100か所ほど)、その他の禁煙指導、通信教育、禁煙コンテスト、禁煙道場など、身近で開催されているあらゆる機会を利用して禁煙への第一歩を踏み出していただきたいと思います。