
第24回 
厚生省保健医療局地域保険・健康増進栄養課
1.先進諸国の多くは広告・自動販売機規制、喫煙空間の制限などを講じている。
欧米先進諸国の多くは、たばこ対策として広告・自動販売機の規制や喫煙空間の制限、たばこの警告表示の義務付けなどを強力に推進している。特に、米国では職場での全面禁煙の率が34%にも達しており、1996年にクリントン大統領がたばこをニコチンという依存性薬物の供給源として認め、未成年者に対するたばこの広告・販売規制を一層強化するなど、喫煙が大きな社会問題となっている。また、世界保健機関(WHO)は、1989年には毎年5月31日を世界禁煙デーとするとともに、「たばこに関するWHOの行動計画」を決議し、たばこ使用の減少とたばこが原因となる疾患の予防と減少を目指している。
2.我が国の対策は、業界の自主規制や事業者・個人の取組みを中心に進められてきた。
我が国のたばこ対策は、厚生省のほか、労働省と人事院が職場における分煙を、文部省と警察庁が青少年の喫煙防止対策を推進しているが、広告や自動販売機については業界の自主規制により、分煙対策については事業者の自主的な取組みや個人のマナーによりそれぞれ進められるのが基本となっている。また、1992(平成4)年に何らかの喫煙対策を講じている事業所は34%であり、増加傾向がみられるが、なお一層の改善が求められている。
3.たばこ対策の一層の推進が求められている。
1995(平成7)年、「たばこ行動計画検討会」から総合的なたばこ対策を示した報告書が取りまとめられ、これを踏まえて公衆衛生審議会は厚生大臣に意見具申を行った。この報告書では、@未成年者の喫煙防止の徹底(防煙)、A受動喫煙の影響を排除・減少させるための環境づくり(分煙)、B禁煙希望者に対する禁煙の支援および喫煙継続者の節度ある喫煙(禁煙・節煙)という三つの観点からたばこ対策を推進することが提言されており、その着実な推進が求められている。
これまでの対策は、たばこと健康の関わりについての正しい知識の啓発普及や、喫煙者をいかに禁煙させるかという禁煙指導に重点が置かれてきたが、今後は、これらに加え、業界に対し従来から行っている自主規制の徹底を要請するとともに、地域における健康づくりや学校教育等と連携し、青少年期の喫煙防止対策を推進するなど、総合的なたばこ対策を一層進めていくことが必要である。
なお、今回、日本医学会の会員である医師を対象に行った調査によると、喫煙が健康に与える影響について、国民への情報提供を推進すべきであるという意見が過半数を占め、また、具体的な対策として、公共の場所等での禁煙や分煙を義務化すべきとの意見や未成年者へのたばこ販売の禁止を徹底すべきとの意見が多く示されている。
