
今年の8月24日から28日までの間、中国・北京市において「第10回たばこと健康世界会議」が開催され、今回は110か国から2000人の参加者が集まりました。本会議は、年々被害が拡大するたばこと健康問題には、社会のあらゆる分野からの、また国際的な取組みが必要との観点から、1967年にニューヨークで米国がん協会の主催で開かれ、数年ごとに各国で開催されています。なお、第6回世界会議は1987年に東京で、結核予防会、健康・体力づくり事業財団、日本心臓財団、日本対ガン協会の共催、厚生省などの後援で開催されました。
その後10年が経過する中で、たばこの健康影響については、喫煙者本人の害のみならず、受動喫煙による周囲の人々ヘの健康被害、並びにたばこに含まれるニコチンの依存症が明らかになり、これらの視点からの対策が求められてきています。さらに、国際的には多国籍たばこ企業やたばこ生産国への対策を盛り込んだ「国際的たばこ対策のための枠組み条約」制定の準備も開始されました。
第10回会議における勧告の概要は以下の通りです。
中国・北京市(1997年8月24〜28日)
今後20年間に1億人を超えると予想される地球規模のたばこ関連疾患死亡の減少を図ることによってのみ、数百万人の人命を救うことができることを踏まえ、公衆衛生関係機関は、人々のたばこ製品の使用中止のために精力的に活動を行うこと。
世界保健機関(WHO)と各国政府は、長期にわたってより広範でより拘束のある能力をもった国際枠組み条約を公式化し、各国政府は、WHOへの財政的・技術的支援を行うこと。すべての政府は、2000年の第53回世界保健総会における枠組み条約の本文に合意し、条約を批准し速やかに執行すること。
国連事務総長は、国連と国連機関の最高レベルにおいて、たばこ対策の問題を優先事項として扱うことを保障すること。各国政府は、国際的たばこ対策を国連の重点対策とし、世界中でこの問題に対し、十分な財政と政治的関与を保障できるようにすること。
国際的影響を考慮しない対策は、世界的なたばこ関連死亡や疾患の減少に寄与しない。和解や対策に関与しない者の法的権利を十分に保障すること。過去、現在、未来にわたるたばこ産業の所業の監視・調査は、和解合意によって妨げられないこと。たばこ産業は、たばこに基づく損失費用を弁済すること。
戦略立案、たばこ対策方針策定、実施、評価に関わる全ての組織(例:WHO専門家会議等)は、女性と途上国ならびに中途開発国の代表の参国を増やすこと。
世界的な監視体制の確立ならびに維持、および適当な資源の供給。すべての社会コストを考慮した、たばこにかかわる経済分析の共同研究を、財政支援し実施する多面的政府機関と開発銀行の設立。大蔵省、開発銀行や国際通貨基金などの経済政策・支援機関は、たばこによるコストを、税金によってたばこ製品の価格に反映させるべきことを確認すること。
すべての政府は、たばこは特別に危険であり、正常な消費製品として扱うことはできないことを認識すること。たばこは合法的で広範に使用されているが、非常に有害でかつ強力な依存性を発揮する唯一の物質である。すべての政府は、たばこ製品と煙の内容を明らかにし、たばこ事業を厳しく法律により規制すること。
たばこ対策に関わる全ての非政府機関は、INGCAT(反たばこ国際非政府組織連盟)の支援。たばこ対策に関わるすべての団体(看護専門職や宗教団体等)の国際的なネットワーク形成。