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第28回

厚生省保健医療局地域保険・健康増進栄養課

厚生省における今後のたばこ対策

 近時、若年者(特に女性)の喫煙率の上昇、たばこ消費の拡大、たばこ関連疾患による死亡者数の増大、それにともなう医療費等の問題が明らかになってきました。また、喫煙習慣とニコチンの依存性との関連や、たばこ煙の発がん性等の危険性、低タール化にともなう健康影響等について、国際的な知見や諸外国のたばこ対策の動向に変化もみられることから、わが国においても、これらについての管理方策の検討など、適切な対応をはかる必要性が生じています。

 このため、厚生省では、次の施策を順次実施することとしています。

◆「21世紀のたばこ対策検討会」を開催し、たばこは嗜好品であるという従来の社会通念と非喫煙者対喫煙者という対立の構図から脱却し、多くの有害物質かつ依存性物質を含むたばこに対するリスク管理の観点から、厚生省としての本格的なたばこ対策の実施について検討します(平成9年度)。

◆たばこと健康問題に関する内外の科学的知見と諸外国のたばこ対策の状況を集約し、リスク科学に基づいた報告書「たばこ白書」を作成します(平成拍年度)。

◆「喫煙と健康問題に関する実態調査」(平成10年度)を行い、国民の喫煙ならびに受動喫煙の実態、喫煙の健康被害に関する知識や意識を把握します。


[参考]
・「厚生白書」平成9年版では「喫煙が健康へ与える影響は大きく、本人のみならず、周囲の人々にも受動喫煙によりさまざまな危険性がある。喫煙習慣は個人の自由意思に基づく嗜好の一つとされてきたが、一方で、喫煙習慣をニコチンによる依存性の視点から捉えることが重要である。喫煙習慣は個人の嗜好の問題にとどまるのではなく、健康問題であることを踏まえ、たばこ対策を一層推進することが求められている。」と記載されました(1997年6月)。

・公衆衛生審議会により報告された「今後の生活習慣病対策について(中間報告)においては、今後の生活習慣病対策において、「たばこ対策については、他の先進国と比べるとなお環境整備が遅れているため、喫煙防止の徹底、受動喫煙対策、禁煙希望者に対する支援等を拡充するとともに、広告や販売のあり方などについてもより積極的な対策を打ち出すべきである。」とされています(1997年7月)


表1 成人喫煙率と国民一人あたり(15歳以上)
年間喫煙本数3)の国際比較
男性 女性 調査年 1970〜72 1990〜92 増減
日 本 55.1% 13.3% 19961) 日 本  2950本  3240本 10%増
アメリカ 28 23 19942) アメリカ 3700 2670 28%減
イギリス 28 26 19943) イギリス 3250 2210 32%減
イタリア 38 26 19943) イタリア 1800 1920 7%増
カナダ 32 29 19943) カナダ 3910 2540 35%減
ドイツ 37 22 19923) ドイツ 2430 2360 3%減
フランス 40 27 19933) フランス 1860 2120 14%増
ロシア 67 30 19933) ロシア 不明 不明
[資料] 1)厚生省
     2)米国疾病管理予防センター(CDC)
     3)世界保健機関(WHO)


表2 1993年の喫煙による超過医療費の試算
(医療経済研究機構)
疾 病 名 国民医療費(億円)
40歳以上
寄与危険度4) 超過医療費
悪性新生物 15859 20.6% 3267
高血圧性疾患 15924 18.7% 2978
虚血性心疾患 6011 28.6% 1719
脳血管疾患 17813 5.2% 926
慢性気管支炎 602 17.0% 102
胃・十二指腸潰瘍 5206 34.0% 1770
肝疾患 5882 12.3% 723
1兆1485億円
[資料] 4)平山 雄(1990)