たばこ煙中に含まれている種々の有害物質のうち、生埋的に影響を及ぼす主な物質は粒子相に含まれているニコチンと気相に含まれている一酸化炭素です。ニコチンの薬理作用により中枢神経系の興奮が生じ、心拍数の増加、血圧上昇、末梢血管の収縮などの心臓・血管系への急性影響がみられます。一酸化炭素は赤血球のヘモグロビンと結びついて、血液の酸素運搬能を阻害します。
常習喫煙者ではニコチンの薬理作用により、精神神経機能の促進と抑制という二様の急性効果をもたらし、知的作業能率についても上昇と低下の相反する成績が報告されています。
喫煙による急性影響は次のような症状を表します。喫煙者ならどれか一つは経験があるはずです。
なお、近年の受動喫煙対策の進行に伴い、受動喫煙を規制する法的措置を実施した国や地域において、急性心筋梗塞等の入院や発生の推移を検討した報告がなされています。そうした報告の中では、多いところでは4割程度、だいたい1−2割程度、急性心筋梗塞等が減少した、と報告されています。
さらに、そうした個別の報告などをまとめて、IARCや米国IOM(医学研究所)等の総合的機関等において、受動喫煙と急性の循環器疾患との関係について検討したところ、血液の凝固作用を促進したり血管内皮細胞への影響を及ぼしたりする以上の詳細や、実際どのくらいの割合が受動喫煙曝露による影響なのか、など詳細についてはまだ検討が必要というものの、明らかに「受動喫煙は急性の循環器疾患との関連がある」との判断がなされています。