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発 表

『受動喫煙の健康影響と分煙対策について』

 喫煙による健康影響は肺がんなどが知られているが、非喫煙者の受動喫煙による健康影響は粘膜の急性の刺激症状や肺がんリスクの増加、循環器疾患の症状増悪などの報告がある。また子供の呼吸器疾患の増加、発がんリスクの増加なども報告されている。また、精神・心理面の影響も大きく、受動喫煙の防止が重要な課題となっている。分煙は受動喫煙防止対策の一つであり、職場や公共の場所で分煙を実施する施設が増加している。しかしその形態は様々であり、分煙が効果的であるか否かの客観的な評価基準がなかったためにその評価はあまり行われてこなかった。

 このため厚生労働省は現在「分煙効果判定基準」を作成中であり、近く公表される。この中ではまず、対策の前後で労働者や利用者の精神・心理面の影響を意識調査等で評価することを推奨してる。分煙効果の判定の基本は、@非喫煙場所の粉じん濃度が喫煙によって上昇しないこと、A非喫煙場所から喫煙場所方向に一定の空気の流れ(0.2m/秒以上)があることである。しかし効果の判定には、非喫煙場所の空気環境が汚染されていないことのみならず、喫煙場所が屋内である場合は、喫煙場所もビル衛生管理法、事務所衛生基準規則で決められた基準を満たしている必要があると規定している。また分煙対策は環境たばこ煙を屋外に排気することが最も効果的であるとしているが、その場合でも、周辺の大気環境を汚染して、近隣の住民に迷惑をかけない配慮も重要であることを指摘しているのが特徴である。また空気清浄機による分煙対策は粒子状成分の除去はできるが、ガス状成分はほとんど除去されていないことを注意すべきとしているが、現在のところガス状成分の適切な暴露評価を行う手法は確立していない。今後これらを参考にして、より効果的な分煙対策がとられることを望むものである。

 

内山巌雄(うちやま いわお)
京都大学大学院工学研究科教授
国立公衆衛生院労働衛生学部長
昭和50年東京大学医学部卒業、医学博士。内科医、循環器疾患の臨床経験の後、昭和57年国立公衆衛生院労働衛生学部研究員として勤務。職業性疾患室長を経て平成元年より労働衛生学部部長。平成13年4月より京都大学大学院工学研究科環境工学専攻教授(国立公衆衛生院併任)。この間米国ハーバード大学公衆衛生大学院に1年間客員研究員として留学。専門は公衆衛生学、環境保健学。主に大気汚染物質の生体影響、地球温暖化の健康影響、化学物質の健康リスク評価を研究。 厚生労働省薬事・衛生審議会臨時委員、環境省中央環境審議会臨時委員。



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