本報告書は、たばこ対策に関する議論に関し、経済的な貢献が比較的乏しいという共通の問題に複数のパートナーが共同で取り組んだことに端を発する。1997年、中国北京で開催された「第10回たばこか健康か世界会議(World Conference on Tobacco)」で、世界銀行はたばこ対策の経済的側面に関する諮問セッションを企画した。同会議は進行中であった世界銀行による方針の再検討の一環として行われ、喫煙習慣の広がりに対する世界的な関心が明らかに不足しているとの認識が得られた。会議出席者はまた、多くの国々でたばこ対策に経済原理が適用されていないこと、また経済的アプローチが行われている国々でもその方法論には質的な開きがあるとの点で一致した。
世界銀行がその方針の再検討を始めるのと時を同じくして、南アフリカのケープタウン大学 (University of Cape Town)では、経済学者たちが南アフリカにおけるたばこ対策の経済的側面に関する研究を開始した。こうした動きは、スイスのローザンヌ大学の経済学者をはじめとする各方面との提携によりさらに広範な見直しへと発展するに至り、1998年2月にケープタウンで行われた会議となって実を結んだ。その会議の内容は、個別に出版されている1)。また、 さまざまな国や機関の経済学者らが関与した共同作業を基に、たばこ対策の経済的側面に関しての幅広い分析が行われた。これにより得られた成果の一部は間もなく出版される予定である2)。本報告書は政策立案者に実質的な意味を持つこれらの研究結果を要約したものである。
注
1. Abedian, Iraj, R. van der Merwe, N. Wilkins, and P. Jha.1998. The Economics of Tobacco Control: Toward an Optimal Policy Mix. University of Cape Town, South Africa.
2. Tobacco Control Policies in Developing Countries Jha, Prabhat and F. Chaloupka eds.Oxford University Press(近刊予定).
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