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たばこ流行の抑制 たばこ政策と経済
世界銀行
A WORLD BANK PUBLICATION

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目次

 前書き
 序文
 要約

第1章 世界におけるたばこ消費の傾向

第2章 喫煙の健康影響

第3章 喫煙者はリスクを認識し、コストを負担しているか?

第4章 たばこの需要削減策

第5章 たばこの供給削減策

第6章 たばこ対策のコストと結果

第7章 行動アジェンダ

付録
参考文献
Bibliography
索引

図表目次



Development In Plactice
Curbing the Epidemic:
Government and the Economics of Tobacco Control
Copyright (c) 1999 by
The International Bank for Reconstruction and Development/The World Bank
1818 H Street, N.W., Washington, D.C. 20433, U.S.A.

たばこ流行の抑制:たばこ対策と経済
Copyright (c) 1999年 国際復興開発銀行(世界銀行)
1818 H Street, N.W., Washington, D.C. 20433, U.S.A.

This Work was originally published by the World Bank in English as Curbing the Epidemic: Government and the Economics of Tobacco Control in 1999. This Japanese translation is not an official World Bank translation. The World Bank does not guarantee the accuracy of the translation and accepts no responsibility whatsoever for any consequence of its interpretation or use.

本著作物は本来『Curbing the Epidemic: Government and the Economics of Tobacco Control』として世界銀行が99年に出版したものである。この邦訳は世界銀行の正式な翻訳ではない。世界銀行は翻訳の正確性について保証せず、本翻訳版の解釈や使用により生じた結果についても一切責任を負わない。

The World Bank does not guarantee the accuracy of the data included in this publication and accepts no responsibility whatsoever for any consequence of their use. The boundaries, colors, denominations, and other information shown on any map in this volume do not imply on the part of the World Bank Group any judgement on the legal status of any territory or the endorsement or acceptance of such boundaries.

世界銀行は本出版物に記載のデータの正確性について保証せず、当該データの使用により生じた結果についても一切責任を負わない。本書の地図には境界線、色分け、分類名その他の情報が記載されているが、それにより世界銀行グループとして、ある地域の法的地位を判断したり、当該境界線を是認、受諾することを含意するものではない。

(c) 1999年国際復興開発銀行/ 世界銀行
1818 H Street, N.W.
Washington, D.C. 20433

全権保有
米国にて製作
1999年5月第1版

本報告書に記載された研究結果、解釈および結論はすべて著者に帰属し、いかなる意味でも世界銀行、その付属機関または理事会(Board of Executive Directors)あるいは彼らの出身国に帰属するものではない。世界銀行は本出版物に含まれるデータの正確性を保証するものではなく、データを使用した結果に関して一切の責任を負わない。

本印刷物の内容は版権で保護されている。世界銀行は自らの業務成果が普及することを歓迎し、その業務成果の一部を複製する許可を通常速やかに供与している。

組織の内部資料や個人用資料、特定クライアントによる組織内部資料や個人用資料、あるいは教育目的で授業用に内容を複写する許可は、世界銀行によって与えられる。但し、適用される料金を 222 Rosewood Drive, Danvers, MA 01923, USA の the Copyright Clearance Center, Inc. に直接支払うこと;電話番号 +1-978-750-8400、ファックス番号 +1-978-750-4470。複写に先立ち Copyright Clearance Center に連絡をすること。

各記事または各章を複製する際の許可については、必要な情報をすべて記載した依頼書をファックス番号 +1-978-750-4470 の the Republication Department, Copyright Clearance Center 宛にファクスにて送信すること。

版権およびライセンスに関するその他すべての問い合わせ先は、世界銀行、the Office of the Publisher 宛(上記住所またはファックス番号 +1-202-522-2422)。

表紙写真:Dr. Joe Losos, Health Canada

日本語版発行:財団法人 日本公衆衛生協会
発行年月日:1999年11月11日

[謝辞]
本書の翻訳及び発行許可に際し快く御賛同いただき、また、多大なる御協力をいただいた世界銀行及び世界銀行出版部の担当者の方々に感謝を申し上げる。
財団法人日本公衆衛生協会理事長 松浦 十四郎

Library of Congress Cataloging-in-Publication Data
Jha, Prabhat, 1965 ー
Curbing the epidemic: governments and the economics of tobacco control / Prabhat Jha, Frank J. Chaloupka
p. cm. ー (Development in practice)
Includes bibliographical references.
ISBN 0-8213-4519-2
1. Tobacco habitーGovernment policy. 2. Tobacco habitーGovernment policyーCost effectiveness.
I. Chaloupka, Frank J. II. Title. III. Series: Development in practice (Washington, D.C.)
HV5732.J43 1999
363.4ーdc21



 今後12ヶ月の間に、たばこが原因で死亡する者の数は、400万人に上るだろう。2030年には、喫煙は単一のものとしては死因のトップになり、年間1000万人がその犠牲になるとされている。しかも、そのうち700万人は、かつて紙巻たばこのあまり出回っていなかった低・中所得諸国に集中するだろう。教養が高く富裕な人々が喫煙習慣を断ち切る傾向が見られる一方で、大半の社会では貧困層の間にますますたばこが広がっている。少なくとも高所得諸国においては、たばこが健康に及ぼす悪影響は、健康被害や貧困層の若年死亡の原因の大部分を占めるという形で現れている。ところが、多くの国の政府はたばこ対策に立ち上がることを渋ってきた。そうした対策が経済に打撃を与えるのではないかとの懸念のためだ。たとえば、たばこの消費量を縮小すると永続的な失業が引き起こされるのではないかと懸念する政策立案者は多い。

 本書は、各国から集められた事実を検証することでたばこ対策の経済的側面を考察、その結果を簡潔に1つにまとめた初の報告書である。本報告書では、たばこ税を引き上げれば中期的には政府の税収を増やしながらも何百万人もの命を救い得ることや、他にも、たばこの広告や宣伝販売促進活動の包括的禁止といった価格以外の手法によっても喫煙を大幅に削減し得ると結論づけている。また、たばこ抑制政策が雇用に与える影響を分析した結果、大半の国では永続的失業が発生しないことが明らかになった。
本報告書は、たばこ抑制政策にかかるコストを検証し、貧しい葉たばこ栽培農家への支援といった、政府のための行動アジェンダをうち出している。また、喫煙関連の若年死亡や障害など本来回避できるはずの犠牲者の数を削減するのに、国際機関が果たすべき役割についても指摘している。

「喫煙は世界中できわめて多くの死者を出しており、第三世界に広がっているため、将来さらに多くの人がそのために命を落とすことになる。本報告書は、この問題の本質と重要性への理解を深め、どう対応できるかを示唆している。情報だけでなく、対策実施についても時宜にかなった計画がバランスよく掲載されている」
 Amartya Sen教授
 1998年ノーベル経済学賞受賞者
「世界中で、たばこが原因となり膨大な数の人が命を落としている。喫煙に伴う最大のコストは、疾病、苦しみ、家族の悲しみという甚大な犠牲である。経済学上の主張ではなく、保健こそがたばこ対策の根拠であるが、たばこ抑制政策には経済的見地からの異論が障壁となっている。そのため、喫煙が世界的な死因となっているにもかかわらず、それを抑制するための対策に立ちあがろうとしない政府が多い。本報告書は、そうした政府が根拠としがちな主張を、きわめて有用性高く、タイムリーに検証したものである」
 グロ・ハルレム・ブルントラント(Gro Harlem Brundtland)
 WHO(世界保健機関)事務局長