発 表
『我が国の喫煙実態と世界のたばこ対策をめぐる動きについて』
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| 山口 直人 (やまぐち なおひと)※ |
我が国の喫煙率は中高年では減少傾向が認められるものの、若年男性での減少傾向は僅かで、若年女性では逆に増加傾向が見られる。また、たばこ消費量は戦後一貫して増加傾向を示しており、我が国のたばこ流行は決して抑制されているとは言えない。肺がん死亡率の増加は、過去の累積喫煙本数にほぼ比例することが示されており、現状のままの喫煙傾向が続けば、我が国の肺がん死亡率の増加は今後とも着実に続くことが予想される。
肺がん死亡率の増加を阻止するためには、たばこ消費量を減らすこと、そのためには、新たに喫煙を開始する青少年を減らすこと、喫煙者の禁煙を推進することが緊急の課題である。我が国の喫煙率を西暦2010年までに男女とも現在の1/2に減らすためには、男では毎年2.5%ずつ、女では毎年0.8%ずつ喫煙率を減らして行くことが必要であるが、これが実現できた場合でも、肺がん死亡率が目に見える減少を示すにはさらに数10年を要する。実効性の高い喫煙対策の早期実現が望まれる。
特に成人の喫煙率を半減するためには、喫煙者に禁煙の意志を持ってもらうこと、さらに、禁煙を希望する人たちが着実に禁煙を達成できる支援体制の整備が不可欠である。厚生省の喫煙実態調査では、喫煙者中で禁煙希望者は約25%に過きず、喫煙者に禁煙の意志を持ってもらうために喫煙の有害性についての情報提供を充実することが必要である。さらに、禁煙の意志を持っていても禁煙を達成することが困難であることも喫煙実態調査から明らかにされており、禁煙を希望する喫煙者に対する支援の充実も重要課題である。
最後に未成年者の喫煙開始に対する対策として、未成年者が喫煙の有害性を正しく認識できないまま喫煙を開始してしまうことを防止するためには、自動販売機の全面撤廃、販売価格の値上げ、広告の全面禁止等の強い措置に向けた法的規制の導入が不可欠であり、たばこ産業関係者、行政、そして成人喫煙者も含めて国民が一丸となって、青少年の健康を守る決意が必要である。
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