平成12年度 調査研究
健康づくり等調査研究
委託事業名 | 委託先 | 委託事業の内容 | |
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(1) | 地域における健康づくり:沖縄の糖尿病とその予防 | 高須 信行 (琉球大学 医学部第二内科教授) |
沖縄は長寿県といわれ、沖縄食は健康食とされるが、近年、沖縄の人々の生活習慣は急速に変化し、脂肪食が増え、運動量が減少しており、糖尿病(2型)が増加している。沖縄の糖尿病増加の背景には遺伝と環境があり、今回は、沖縄県人の糖尿病関連遺伝子を解析し、沖縄県人の生活習慣(食事内容、運動量)の変化を明らかにし、予防対策に貢献する。 |
(2) | ストレスチェックリストの標準化と休養指針の効果的活用についての研究 | 原野 悟 (日本大学 医学部公衆衛生学講師) |
休養はストレスとの関連性も深く現代社会における健康上の問題として大きく取り上げられている。その研究過程で開発されたストレスチェックリストについて、その外的妥当性を検討し質問票として標準化し、その結果に基づき「健康づくりのための休養指針」を効果的に活用した助言指導の方法についても検討する。 |
(3) | 市町村等における健康づくり事業の評価指標の開発と住民参加型の評価体制のあり方に関する研究 | 平野 かよ子 (国立公衆衛生院 公衆衛生看護学部部長) |
本研究は、主に市町村が行う健康づくり事業等の適切性及び効果を評価するための指標を開発し、また、これらの指標に基づく評価に、サービスの受けての立場にある住民の参加を得て評価する評価体制のあり方を明らかにし、さらに、指標の情報を全国の市町村や保健所等に還元しようとするものである。 |
(4) | ソーシャル・マーケティング理論および手法を活用した健康づくり・保健事業の効率的推進に関する研究 | 中原 俊隆 (京都大学 医学部公衆衛生学教室教授) |
国民の健康に関する関心は高いが、健康教育、健康相談が効果を上げていない例が多く見られる。マーケティング手法を効果的に使用すれば、住民の健康に対する積極的な関心を喚起することは可能と考えられる。より住民にアピールする健康教育、健康相談を目指して、ソーシャル・マーケティング手法の取り入れた方法について、検討する。 |
(5) | 女子大生の禁煙に関する行動科学的研究:大学コミニュニティを基盤とした若年女性志向の禁煙・防煙プログラムの開発 | 岩岡 浩子 (宮城学院女子大学 学芸学部食品栄養学科助教授) |
次世代を担う未成年者、女性を対象とした喫煙対策では、それまでの主として成人男性を想定したアプローチとは異なる方法論の必要性が認識され、特に重点的な取り組みの必要性が強調されている。本研究は、短期大学生を含む女子大学生を対象に、横断調査により喫煙行動とその関連要因の行動科学的解析を行い、その知見に基づいて若年女性の特性を考慮した禁煙・防煙プログラムの開発を目指すものである。 |
(6) | 高齢者の歯牙欠如症例に効果的な刷掃の検討-刷掃方法と刷掃に用いる歯ブラシの形態について- | 田中丸 治宣 (静岡県立大学 短期大学部教授) |
高齢社会を迎え、何でも食べられ健康で快適な生活を送るには、歯科疾患の予防が大切である。歯科疾患の予防は患者の意識の向上と、効果的な歯口清掃が重要である。今回は、異なる形態の歯ブラシを使用した場合の高齢者の歯牙欠如症例に対する歯口清掃の効果について研究する。 |
(7) | 経済環境および家族環境と中高年の自殺問題 | 清水 新二 (国立精神神経センター精神保健研究所 成人精神保健部長) |
平成10年は50歳代の自殺が急増している。とりわけ男子にあっては単純自殺率でとると、明治32年以降最も高い自殺率になる。その背景には平成不況があることは間違いなく、経済不況下にあって職域で働く中高年のメンタルヘルス問題は従前にも増して問題性を深めている。自殺対策には予防、介入、そして遺族へのケア・サポートの3局面があるが、これまでは前2者については相応の努力がなされ成果もあげられてきた。しかし、最後の点は今後の課題とされてきた。 本研究では、経済環境問題と連動した自殺の予防・介入活動に対して、とりわけ家族との関連で有益な示唆、留意点が浮かび上がるばかりでなく、遺族ケア・サポートの側面についても対応すべきニーズ、遺族ネットワーク構築のヒントが得られることが期待される。 |
老人保健総合研究
委託事業名 | 委託先 | 委託事業の内容 | |
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(1) | 高齢者の健康保持に必要な身体活動量に関する研究(体力・健康水準別の目標設定に関する基礎的研究) | 木村 みさか (京都府立医科大学 医療技術短期大学部教授) |
高齢者の体力・運動能力の維持には、個人の体力・健康水準及び生活環境に応じた適度な身体運動が必須で、高齢者の誰もが場所や時間を選ばず、体調に合わせて無理なくできる歩行運動や体操が注目される。本研究では、高齢者の自立に必要な身体活動量の目標を、体力や健康水準及び生活環境を考慮し、高齢者の生活に即した形で検討する。 |
(2) | 健康づくり方策の有効性に関する研究―科学的根拠に基づいた事業展開のためのデータベース構築― | 石井 敏弘 (国立公衆衛生院 公衆衛生行政学部主任研究官) |
国民健康づくり対策等において多くの事業が実施されてきたが、健康増進や疾病予防のめざましい効果は報告されていない。これらの事業は、疫学観察研究の知見を拠りどころとして実施されてきたが、知見に関する証拠としての根拠は様々である。一方、専門家向けの商業誌には健康教育等の介入効果に関する報告が多数みられるが、根拠を備えてないものが多い。このため、現場では、充分な科学的根拠に基づいた健康づくり事業を実施することが困難になっている。このため、既存文献で報告されている健康づくりに係る介入効果を整理したデータベースを作成するため研究を実施する。 |