保健指導実施率の職場における向上に関しての研究事業
(平成18年度 老人保健事業推進費等補助金事業)
1. 事業目的
中長期的な医療費の適正化対策の一環として保険者の健診・保健指導が義務化されるなかで、健診後の健康相談や健康教育などの保健指導については不十分であり、生活習慣病に対しての2次予防対策として、被保険者の健康管理を行うことは重要である。そこで、本研究では、企業に勤める従業員を対象として、メタボリックシンドローム対策を中心とした健康づくりを企業で展開し、どのような介入方法が健康の維持、健康意識の向上、ライフスタイル改善等の面で効果的であるか、また、投資を上回る効果が得られるかを明らかにすることが目的として本事業を実施した。
2. 事業概要
- 検討委員会の設置
事業所への効果的な介入手法を検証するための研究デザイン、介入事業所の選定などを検討。また本調査結果の評価を行った。 - 事業所への保健事業介入の実施
強介入群・弱介入群の二つの事業所を選定し、以下のとおり保健事業介入を行った。- (1) 職場における定期的運動教室の開催(強介入群)
- (2) 職場に健康づくりに向けた環境整備の実施(強介入群、弱介入群)
- (3) 教室プログラムのテキストやツールを開発(強介入群、弱介入群)
- 事例検討会の実施
介入中の問題点を把握・改善できるよう、検討委員・介入担当者による事例検討会(ワーキンググループ)を開催した。 - 調査研究報告書の作成
本調査研究の結果を報告書としてまとめた。 - 調査研究報告書の配布
作成した報告書を、都道府県や関係団体等に配布した。
3. 事業の成果
本事業を実施したことにより、次のような効果があった。
- 強介入事業所、弱介入事業所とも、多くの者に健康意識の向上が認められた。さらに強介入事業所では、40歳以上の者に腹囲・体重の減少効果が認められた。強介入事業所の中には、タバコをやめた者、健康機器を買って自宅で運動している者、通勤時に余分に歩くようになった者など、生活習慣の変容が見られた者もいた。
- ポピュレーションアプローチにより即効的な効果(アウトカム)を期待するのは一般的には困難であるが、強介入事業所・弱介入事業所ともに健康意識の向上が認められたり、あるいは生活習慣が変容した者が何名か現れている。定期的な運動教室についても、必ずしも全員が参加できたわけではないが、参加者は主観的効果等を感じており、一定の効果が現れた。
- 今回行った介入内容は、ほとんど費用のかからないもの(ポスター掲示、ヘルシーカンパニー宣言等)から、一定の費用の要する者(定期的運動教室、歩数計配付)までさまざまである。各事業所の考え方や健保組合等との費用負担の分担等の事情に応じて、こうしたポピュレーションアプローチ的手法を適宜組み合わせて実施することが有効である。
4. 報告書
- 保健指導実施率の職場における向上に関しての研究事業 (3.8MB)