貯筋運動プロジェクト III
(平成24年度(独)日本スポーツ振興センタースポーツ振興くじ助成事業)
1. 研究目的
健康で活発な生活を遂行するためには、自らの力で活動できる力を保持することが大きく影響する。それには、居住する地域で、仲間と楽しみながら、安価に、スポーツやエクササイズを継続できる環境を整備することが必要である。
そこで、本研究では、道具を使わずに自体重を利用して効果を上げられる筋力トレーニング「貯筋運動」、高齢者でも安全に楽しく指導できる健康運動指導士、総合型地域スポーツクラブと組み合わせ、週1回程度の集合型運動教室"貯筋運動ステーション"を設置して、主にスポーツや運動を行っていない高齢者のスポーツ・運動開始を促し、健康・体力つくり、仲間・生きがいづくりに貢献するとともに、クラブの地域における存在意義を高め、指導者の活用を図るしくみを提案することを目的とする。
2. 研究概要
- 総合型地域スポーツクラブにおける貯筋運動リーダー養成のための伝達研修会カリキュラムの検討。
- 貯筋運動ステーションの支部とするサテライトの実施と効果の検討。
- 残高チェック(体力測定)評価表の提案。
- ステーション・サテライトの効果をリーフレット、各種学術学会、ホームページ等で周知。
3. 研究の成果
- 貯筋運動指導者と一緒にクラブで指導にあたるリーダーを想定して、クラブ主催・貯筋運動指導者が講師となるカリキュラムを検討し、貯筋運動の基本的な動きの習得とともに、間違った動きを修正する方法と運営上のリスク管理を取り上げた。リーダーは、貯筋運動指導者の下で連携をとりながら活動することとした。
- 10クラブで貯筋運動ステーションを実施し、データを収集した。また、4クラブで、公民館や多目的スペースなど、より高齢者の生活圏に近い会場を確保し、1クラブごとに1ステーション(拠点施設)+1~3サテライトを実施して、その効果を検討した。サテライトの指導は貯筋運動指導者が指導したリーダーでも可としたが、どのクラブも、貯筋運動指導者本人か、クラブから貯筋運動指導者養成コースへ派遣され修了したクラブスタッフが指導した。4クラブで、4ステーション・8サテライトを実施し、235名(延べ1669名/平均出席率64.7%)が参加した。ステーション・サテライトともに、3か月の実施期間の前後で体力の向上を見た。
- 本年度も含めた過去3年間の参加者のうち、835名のデータから、評価表の作成を試みた。縦断的評価表については、貯筋運動実施量とパフォーマンスの変化率の関係を導き出すことができなかったため、さらにデータを集めて検討することになった。 横断的評価表については、参加者を5段階に分けた表を下記に記す。ただし、性・年代に応じた必要筋力で評価したものではなく、特に、本プロジェクトに参加した高齢者は「独歩で会場に来られる」ことを条件としているため、我が国一般高齢者より高い水準の評価表になっていると考えられる。