東日本大震災における被災地での運動・スポーツによる身体的・精神的支援および活用方策に関する調査研究事業(平成23年度厚生労働省社会福祉推進事業)
1. 事業目的
東日本大震災において運動やスポーツには、どのような支援が求められ、何が行われたのかについて検証し、被災時・復興時における運動・スポーツの活用方策について提案することを目的とする。
2. 事業概要
被災地もしくは避難先において運動・スポーツ支援を実施した運動指導者らに、実施内容について質問紙で調査するとともに、被災地の自治体保健師、運動指導者、避難所運営者らに、支援提供の状況や時期によるニーズの変化、身体的・精神的・コミュニティ等への効果について関与観察を行い、運動・スポーツの支援を実施する際の課題と生活復興に向けた効果的な活用システムについて検討・分析した。
【Ⅰ 質問紙調査】
(1)調査目的 | 東日本大震災発生以降に行われた運動支援の実態を調査する。 |
(2)調査対象 | 健康運動指導士(14,134名)と全米ストレングス&コンディショニング協会公認スペシャリスト、およびパーソナルトレーナー(3,465名)の計17,599名 |
(3)調査方法 | 3種の調査票を用いた郵送調査 (回答に該当する関係資料等についても提供を依頼した) |
(4)調査期間 | 平成23年12月12日~12月26日 |
(5)調査項目 | 調査票Ⅰ 個人の基本情報と運動支援・実施の有無、理由 調査票Ⅱ 運動支援・指導の頻度、動機、アクセス、内容 調査票Ⅲ 支援先の様子や感想などの自由記述 |
(6)回収数 | Ⅰ/2274名(回収率13.2%) Ⅱ/163 Ⅲ/99 |
【Ⅱ 関与観察】
(1)調査目的 | 平成23年3月11日から現在にいたるまで、時系列に運動支援の内容や周辺の様子など動的な素描を記録する。 |
(2)調査対象 | 被災地の保健・医療や運動指導の立場にあった者 11ケース(表参照) |
(3)調査方法 | 関与観察 (本人による執筆、もしくはライターによるヒアリングを行いまとめた) |
(4)調査期間 | 平成24年1月11日~2月29日 |
表 関与観察のテーマとエリア
区別 | テーマ | エリア |
---|---|---|
現地に入った健康運動指導士 | 被災地での運動支援活動はどのように行われたか | 岩手県陸前高田市ほか |
被災地の健康運動指導士 | 被災地の健康運動指導士が体験したこと | 宮城県仙台市 |
被災地における保健師 | 行政の保健師が経験し観察した被災 | 宮城県仙台市 |
被災地における 介護予防サポーター |
被災地域での運動はいかに立ち上げられたか? 行政と住民組織がなしえたこと | 宮城県多賀城市 |
被災地における体育指導委員 | 体育指導委員はどのように支援に関わっていったか? | 岩手県奥州市 |
被災地後方支援/保健活動 | 3年前の岩手・宮城内陸地震に被災した、その体験はどう生かされたのか? | 宮城県栗原市 |
被災地のフィットネスクラブ | 被災地の民間クラブが地域と会員になしえたこと | 宮城県仙台市 |
原発地域における運動教室 | 運動教室はコミュニティを再生できるか? | 福島県南相馬市 |
被災地における総合型地域スポーツクラブ | 住民組織である総合型地域スポーツクラブが地域で活動し続けている理由 | 岩手県北上市 |
避難所での1住民 | 自ら避難している避難所で、なぜスポーツ支援を行えたのか? | 宮城県石巻市 |
避難所になった学校の教員 | 学校へ避難された方々と一緒に過ごした時間 | 福島県福島市 |
3.事業の成果
運動指導者が対応しておくべき内容をまとめたガイドラインを作成するとともに、運動指導関係者として以下の4点を提言した。
●災害派遣医療チーム(DMAT)に、運動指導者を含めておく
●地域防災計画および防災マニュアルに運動支援を位置づける
●ITを利用した全国レベルの運動・スポーツ団体によるネットワークを構築する
●恒常的に『災害時運動支援指導者研修』を実施する
4. 報告書
「東日本大震災における被災地での運動・スポーツによる身体的・精神的支および活用方策に関する調査研究事業」【報告書】- 表紙~第1章「提言」・第2章「運動指導者の運動支援実態」(10.7MB)
- 第3章「被災地のスケッチ」(17.1MB)
- 第4章「運動指導者のガイドライン」(14.3MB)
- 終わりに~資料編(9.6MB)
- 全頁(50MB)
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報告書をご希望の方は、その旨と、お名前(ご所属)、送付先郵便番号・住所、ご連絡先電話番号を明記の上、FAX03-6430-9211(事業部調査情報担当宛)までお送りください。残部がある限り着払いでお送りいたします。