公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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体力つくり国民会議発足に至るまでの経過

(昭和40年3月25日 第1回国民会議総会における総務長官挨拶)

ご承知のように、近年、わが国民の健康・体力は食生活の改善、保健、衛生思想の普及、体育・スポーツの振興等により、逐年、改善の方向に向かってはいますが、いまだ諸外国の水準に比べてなお、立ち遅れていることは、オリンピック東京大会の機会において関係者が等しく認識されたところであろうと存じます。

そこで、政府といたしましては、国民の健康の増進と体力の増強を図るための対策をこの際、強力かつ総合的に推進する必要があるとの考え方に基づき、ご案内のように、昨年12月18日、国民の健康・体力の増強対策について、その基本方針を閣議決定し、その方策の強力な推進を図ることとした次第であります。

そして、今日まで、事務的には総理府を中心に、関係各省庁の協力のもとに、国民の健康・体力の現状及びこれに関係ある各省庁の施策の現状を取りまとめ、この面における長期計画策定の基礎資料といたしております。

また他方、去る3月9日には、国民の健康の増進と体力の増強を図るため、これに係わる重要問題を協議し、行政各部の所有する事務の連絡調整を図るという目的をもって、関係閣僚懇談会が河野国務大臣を中心に、関係の閣僚で構成され、近く第1回懇談会を開催する運びになったほか、これと併せて総務長官を長とする関係各省庁の事務次官等によって構成される政府の対策協議会も発足し、活動を開始したところであります。

いうまでもなく、健康の増進や体力の向上は単に政府がその施策を推進するだけでこと足りるものではなく、国民一人一人が健康な身体つくりの重要性を認識し日常活動を通して、自らの手によって、自主的な実践活動を展開することが不可欠と存ずるのであります。そのためには、今後、政府及び民間関係団体の協力によって、国民の間に自主的に健康の増進、体力の向上を図るような気運を盛り上げるような国民運動の展開が、ぜひとも必要なことであろうと存じます。

よって、政府といたしましては、このような趣旨にかんがみ、去る2月24日第1回懇談会を開催し、2〜3の民間関係団体の代表の方々のご参集をいただきまして、健康つくり、体力つくり運動を強力に展開する方法等についての考え方をご説明し、ご賛同を得るとともに、併せて各方面のご意見を承った次第であります。よって、その際の意見を基礎に第2回の懇談会を開催し、さらに多方面の団体の代表のご参集を得まして国民の健康・体力増強対策についてより広く各界のご提案をお聞きし、政府の施策に反映させていくとともに、国民自身の力による実践活動等の活発化に資したいと存じ、この機会にお集まりの各団体で、「体力つくり国民会議」を結成することにした次第であります。そして、この会議を拠点として、政府も民間団体と一体となって、今後、国民の健康の増進、体力の増強のための国民運動の推進を図り、健康な身体つくりの重要性を国民一般によく徹底してもらい、また実践活動をより積極的に展開するよう努力してもらいたいと考えています。