公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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平成13年度 内閣総理大臣賞受賞組織概要

市の部

新潟県柏崎市(総人口 87,078人、世帯数 29,017世帯)
担当課:柏崎市教育委員会体育課 TEL:0257‐23‐5111

≪選 評≫ 東京大学教授 小林寛道

平成11年10月に柏崎元気館が完成し、柏崎市民生部元気支援課と子供課(育児支援係)が担当している。この建物には、身体障害者デイサービスセンター、知的障害者デイサービスセンター、在宅介護支援センター、ファミリーサポートセンター、早期療育事業(プレー教室、ことばの相談室)が含まれており、これらのスペースを結ぶ中央ホール部分が元気交差点と呼ばれる「元気ホール」となっており、子どもの遊び場であると同時に高齢者との交流がはかられる場となっている。元気館を中心にさまざまな福祉・教育、サービスが行われている。元気館の総工費は14億円で、年間4万3千人の利用がある。ユニークな総合的アイディアを生かした施設として、他県からの見学者も多い。

市民の健康づくりには、23の支部をもつ健康推進員協議会が組織され、「健康推進員活動ハンドブック」が作成され、「自分が勉強する活動」「行政と一緒にする活動」「自主的にする健康づくり地区活動」などが行われている。

健康づくり自主活動も、健康推進員や食生活改善推進員によって、各地域で盛んに行われている。健康イキイキ地区活動には、「子育てを支援する活動(6地区)」、「健康づくりのための活動(16地区)」、「老人を暖かく見守る活動(15地区)」、「その他の自主活動(14地区)」などが月1〜2回または年数回行われている。毎週行われている活動も少なくない。健康推進員は、毎地区で100世帯に1人の割合で選出されており任期1〜2年である。継続することが望ましいとされている。

65歳以上の要援護老人を対象とした「コミュニティデイホーム」は、7地区に18個所開設されており、平成12年度の利用は、延べ8,213人である。1日の平均利用者数は6〜10人である。1施設常勤の生活援助員2名がおり、市から補助金として維持管理費260万円、設備費200万円が交付される。

市民の運動施設として、佐藤池運動広場があり、総合体育館、球場、第二球場、サッカーコート2面がある。スポーツ医科学室で医師、看護婦から運動に対するアドバイスを受けることができる。総合体育館の年間利用者数は、86万人である。

各小学校区に設置されている「コミュニティセンター」(市内25ヶ所)には、すべて体育館が併設され、良く利用されている。アクアパークは、50mプール、レジャープール(流水プール)、浴室をもつ巨大施設で、冬季は50mプールがアイススケートリンクにかわる。流水プールは、高齢者の水中歩行にも利用され人気がある。これらの施設は、原子力発電所の補償費で作られた。年間利用者数は185万人。

体育、運動施設の管理は、(財)柏崎観光レクリエーション振興公社が行い、各種スポーツ教室の開設・運営にあたっている。 施設の利用は有料であるが、24時間利用可能の陸上競技場だけは我国初の陸上競技場発生地として無料である。

競技スポーツ活動団体38が加盟して、柏崎体育団が組織され、活発な活動が行われている東村山市とのスポーツ交流が行われている。

体育団は、市内一地域を代表とする地区体育組織の連絡協議会、種目別団体、学校体育団体、職員体育団体などによって構成されている。

全体に、充実した健康・運動施設に恵まれ、職員や住民のアイディアを生かしたかたちで市民の健康・体力つくりへの取り組みが進められていることが高く評価できる。

町村の部

岡山県新庄村(総人口 1,142人、世帯数383世帯)
担当課:新庄村教育委員会 TEL:0867‐56‐3179

≪選 評≫ 順天堂大学スポーツ健康科学部教授 武井正子

新庄村は、岡山県北、鳥取県境の中国山地、大山・森山の西北にいちする。かつては、出雲従来の宿場として栄えた新庄宿で、桜並木と流水のある街道は、町並み保存地区に指定され、春には、多くの花見客がこの村を訪れるとのことである。

村の人口は、1,142人。高齢化率は、36.2%である。新庄村は、福祉の村としての歴史を持ち、子どもから高齢者まで「村民-家族」をモット-に健康長寿日本一をめざして積極的に健康福祉の村づくりを進めている。

平成5年、体力つくり活動に対して総務長官賞を契機に村の中心部に総合福祉センター「メルヘンの里ふれあいセンター」の建設に着手し、平成8年4月に完成。施設は、デイサービス、配食サービスの「健康福祉施設」、積雪時に独り暮らしの高齢者が入居できる「住居施設(冬の宿)」、創作活動ができる「カルチャ-施設」、各種イベントに使用する「ふれあいホール」、内科、歯科の「診療所」からなっていて、各施設は廊下でつながり、庭に面している。デイサービスに使用される部屋は、堀こたつ式の畳の間で高齢者に配慮した作りになっている。デイサービスを利用している高齢者数人に対して、ボランティアグループ「あじさいの会」による配膳サービスが実施されていた。また、センター横には警急患者運搬用のヘリポートもある。

健康・体力づくりの組織

人口が少ないこともあって、村長以下、社会福祉協議会、保健福祉課、住民生活課、教育委員会(公民館・体育指導委員・体育協会)が横のつながりを持ち、住民組織の老人クラブやボランティア組織、各委員会などの協力のもとに活発な活動ができるようになっている。

身体活動部門

推薦書通りの活動が実施されているが、特にゲートボールについては老人クラブから体協が引き継ぎ、8ヶ所のゲートボール場を整備するとともに、子供から高齢者まで世代を越えたスポーツ活動として多くの大会を実施している。また、季節ごとに村外参加者も含めた各種のスポーツ交流やジュニアスポーツクラブの指導も活発に行なわれている。

保健・栄養・母子衛生部門

平成10年に実施した村民食生活調査の結果に基づき、特にカルシュウムや食物繊維など充足率の足りなかった栄養素に関して村民に周知させると共に、栄養士や栄養改善協議会員が各地で指導に当っている。また、高齢者の転倒予防教室の実施や母子への支援・中学校までの医療費無料化など少子化への対応もおこなっている。12年からは「新庄村健康大作戦」をスローガンに推進員を公募し、「生涯現役の村づくり」を始めようとしている。この8月には、健康長寿日本一をめざした「健康メルヘン21」戦略に向け、村の職員研修を実施したところである。

以上の通り、未来の夢を育みながら、村民が主体的に健康・体力づくりを推進している新庄村は、超高齢化社会のモデルとしても参考になり、表彰に価するだろうと思う。

地域組織の部

奈良県 大和郡山市健康・体力つくり推進協議会(人口 95,927人、世帯数 34,246世帯)
担当課:教育委員会社会教育課 TEL:0743‐53‐1151

≪選 評≫ 東京医科大学衛生学公衆衛生学主任教授 下光輝一

かつて柳沢15万石の城下町として繁栄し、奈良県の北部に位置する大和郡山市は、昭和29年に市制が施行された。人口95,927人の市は大阪市のベッドタウンとして存在し、また、内陸型の工業団地が造成され、90社の企業が誘致されている。また、大和郡山市は金魚の養殖地として有名で、全国の金魚の約60%、年間金魚8000万匹、錦鯉600万匹がここで生産されている。

大和郡山市は、昭和50年から52年、平成2年から5年までの合計7年間「体力づくり運動推進地域事業」の指定を受け、昭和51年の「健康・体力づくり推進協議会」発足以来今日まで、長年にわたり継続的に健康・体力づくりに取り組んでいる。 特に体力づくり部門では、従来の卓球やテニスなどのスポーツ教室や大会行事ばかりでなく、グラウンドゴルフなどの軽スポーツを取り入れつつ生涯スポーツの普及・振興に努め、住民参加型スポーツを目指している。

市民体育大会では、ソフトボール、卓球など21種目の競技について行い、また、お城祭りにあわせてお城祭り武道大会を企画し、柔道、剣道、なぎなた、居合道の教室受講者を中心に競技会を開催している。その他、ちびっこ体操教室、市民陸上競技大会などが企画され、いずれも多数の市民の参加の下に行われている。体育の日の行事としては、トライスポーツフェスティバルを企画し、市民の誰でもが参加できるグラウンドゴルフ、インディアカやソフトバレーボールなどの軽スポーツの競技を行っている。さらに市民歩こう会、市民マラソン大会、ラジオ体操講習会、スポーツ教室、武道教室など多種多彩なスポーツ活動が企画され、実施されている。その結果、年々参加者数が増加し、延べ1万人近い市民が参加する状況となっており、スポーツの日常化が市民の中で定着化しつつある。さらに施設面では、平成13年には、大和郡山市の総合施設として「やまと郡山城ホール」が開設され、立派な武道場・弓道場も併設されており、スポーツ振興の新たな推進力となっている。

一方、健康づくり部門・食生活改善部門においては、各種検診・教室・相談など多岐にわたり創意・工夫が行われている。平成7年には、新たな保健センター(さんて郡山)が開設され、その中で市民のボランティア活動として音楽指導や食生活改善活動が行われている。また近年、核家族化が進行しつつある中で、経験の無い若い夫婦が育児などについて悩み困らないように情報交換を行う自主活動グループが保健センターを拠点として多数結成され、活発な活動が行われている。

職域組織の部

ソニー株式会社(従業員数 22,450人)
担当部門:人事センター 健康開発センター TEL:03‐5795‐5978

≪選 評≫ 東京医科大学衛生学公衆衛生学主任教授 下光輝一

ソニー株式会社は、1978年より就労時の疲労を回復させるためのソニー体操を開始していたが、大量に採用した社員の高齢化による成人病(生活習慣病)患者の急増が予想されるようになり、1986年より社内にソニーフィットネスクラブが設立され、社内でフィットネスブームが巻き起こされた。これを契機に健康・体力づくりの機運がみなぎり、1990年には、国による一次予防に重点を置いたTHP運動が始まるのとちょうど期を一にするかのように社内健康開発センターによりウェルネスコースが開始され、健康診断後に成人病の要注意者に対し、最大酸素摂取量測定などの体力測定を行い、運動指導を中心とした健康教育を行うようになった。1991年にはさらに、全身持久力、握力、柔軟性の3つに絞った体力測定を社員全員の定期健康診断時に行うようになった。1992年には、健康開発センターおよびソニー健保などが協力し合いながら社員の「こころ」と「からだ」の健康づくりを援助するプロジェクト、ヘルスプロモーション(HP)プロジェクトが発足した。

下の運動頻度の者が29.9%と10%も減少し、逆に週3〜4回以上の運動頻度の者が39.6%と11%も増加したことでも明らかである。

このHPプロジェクトは、1992年から1996年までの成人病予防を目的とした第1フェーズから、1996年から1999年までの栄養、運動、メンタルヘルス、喫煙、飲酒という5つの生活習慣への介入を行う、いわば健康日本21を先取りしたような第2フェーズ、そして1999年からは予防的メンタルへルス対策を推進する第3フェーズへと、発展していった。

HPプロジェクトの特徴は、歩きing大会の企画など健康体力づくりがその中心をなしており、社員は、全国15箇所で展開される「オールソニー歩きing大会」に1回、事業所毎の万歩計を活用した「歩きing活動」(1〜2ヶ月間継続)に3回と、年に4回参加の機会がある。さらにこうした活動を、健保組合は毎月「ハイジイニュース」を、また季刊誌として「ハイジイ」を発行し、一方、安全衛生委員会は「ウェルネスインフォーメーション」を発行、健康開発センターはホームページを充実するなど、各関連組織が有機的につながって良い連携プレイを見せている。また、産業医、産業保健婦などの産業保健スタッフ、栄養士、トレーナー、健康運動指導士、スポーツ指導員、産業カウンセラー、臨床心理士、心理相談担当員などの多種多彩な指導者の積極的な協力の下、10有余年にわたって行われた健康体力づくり活動により、医療費の減少などの効果をもたらしている。その間、社員の健康体力にかかわるデータを蓄積し、それを科学的エビデンスとして社員の健康体力づくりに還元している点は特筆に価する。

ソニーの健康体力づくりの現場は、大変ユニークで明るい。それは、ソニーにおける健康体力づくり活動が、ソニー体操に始まりフィットネスからウェルネスへと発展していったことに見られるように運動・スポーツの推進というアクティブライフを勧めるトレーナーがその中核を担っており、病気のリスクを強調することにより疾病予防のアプローチを取る医師や保健婦とともに重要な役割を占めているからと思われる。

今後、更なるポジティブへルスへの取り組みを期待したい。