公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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平成14年度 内閣総理大臣賞受賞組織概要

市の部

神奈川県逗子市(総人口 58,244人、世帯数 22,814世帯)
担当課:教育委員会体育部体育課 TEL:0468-73-1111

≪選 評≫ 東京大学教授 小林寛道

逗子市は、昭和59年に「逗子市スポーツ都市宣言」を採択し、海と緑の自然環境を生かして、市民の健康・体力つくりを推進している。この宣言では、スポーツを通じた地域連帯の輪をひろげることが唱われている。

組織としては、逗子市の教育委員会及び福祉部のもとに総括されたスポーツ及び福祉関係組織がある。教育委員会関係では、スポーツ振興審議会(5人)、体育指導委員協議会(60人)、逗子市体育協会(競技連盟20団体、地域体育団体協議会8地区で21種目、レクリエーション協会4種目、スポーツ少年団10団体)等がある。特に市民による自発的なサークルが数多く組織され、その活動が大変盛んであることが大きな特徴である。スポーツ教室や各種競技会、大会も活発に開催されている。

逗子市は、市民の自発的なサークル活動が行われやすい環境づくりに配慮しており、このことが市民の積極的なスポーツへの参加意欲を高めている。市の体育運動施設は、活用頻度が高く、新たに逗子駅前の立地を生かして体育・スポーツ及び福祉施設を兼ねた建物の建設をすすめている。

福祉部関係では、市民に対する健康福祉事業が円滑に行われており、運営組織も充実している。保健栄養面では、平成5年から市内小学校(5校)4年生全員について、生活習慣病予防検診を実施しており、10歳の子どもで31.6%が生活習慣病危険因子保有者であることを明らかにし、これらの子どもたちについての継続的なケアを実施していることが高く評価できる。

福祉面では、高齢者センター、デイケアセンターを有効に運営し、高齢者の自発的なサークル活動への支援や環境づくりを成功させている点が評価できる。

町村の部

広島県御調町(総人口 8,221人、世帯数2,765世帯)
担当課:御調町教育委員会 TEL:08487-6-2930

≪選 評≫ 順天堂大学名誉教授 武井正子

(1) 健康づくりについて

御調町は、1991年「福祉の町」宣言を行い、寝たきりゼロをめざして、健康と福祉の町づくりを積極的にすすめている。公立みつぎ総合病院と保健福祉センターを中心に保健・医療・福祉を一元化した地域包括ケアシステムを構築し、きめ細かな福祉サービスを提供している。その結果として、寝たきり老人が減少するなどの成果をあげている。

御調町の人口は、8,000人ほどであり、今後の高齢化などを視野に入れ、町ぐるみのボランテイアによる福祉ボランテイア制度を発足させている。協力会員は、現在1,800人余り、高校生から80歳代にわたっている。高校生は、ボランテイア実習によってヘルパー2級の資格を取得している。関連施設を視察したが、ボランテイアによる食事のサービスなど地域住民が積極的にかかわっている状況を理解することができた。また、こうした施設とスポーツ施設が、隣り合い、地域に融合しているように感じられた。

今後の健康づくりについては、保健福祉センターがまとめ役となり、保健福祉推進員、食生活研究グループ、民生委員、児童委員、老人クラブなどのワーキンググループが、実態調査を実施し、住民の側から提案した「健康みつぎ21」を策定し、行動目標を設定し21世紀の健康づくりを展開し始めている。住民の実態調査に基づいた計画の策定であることは、評価できるところである。

(2) 体力つくりについて

御調町は、もともとソフトボールが盛んで公式試合ができるように競技審判員や記録員の養成に努めてきた。1996年の「ひろしま国体」でソフトボールの会場になったのも、こうした条件が整っていたからであり、それが契機になって大規模の大会を誘致するまでになっている。ちなみに審判員は、108名もおり、町長、助役、教育長など行政のトップが、公認審判員の資格をもっていること、人口比率から審判員の有資格者は、76人に1人と日本一を誇っている。自然環境と調和した町民運動場には、特にナイター施設の完備したソフトボール専用球場が2面あり、ソフトボールを通じた町づくり、人づくりを目指している。また、グランドゴルフも盛んで、専用のグランドゴルフ場は、年間55,000人が利用し、わずかではあるが、黒字経営である。年間使用料は4,800円、1回使用料は、高校生以下無料、一般は1日400円で、視察当日も、小雨模様であったが、和気あいあいにゲームを楽しんでいる様子がみられた。

小学生は、スポーツ少年団に所属しており、何らかのスポーツを行なっている。町民運動会には、町民の4人に1人が参加、ソフトボール大会、バレーボール大会、駅伝大会等、子どもから大人まで幅広い年齢層がスポーツを楽しんでいる様子がうかがえる。さらに、御調高校は、ソフトボール部を創部2年目にして、中国大会に出場しており、小学生からのソフトボールへのかかわりとそれを支える地域の熱意が感じられる。

教育委員会をはじめ、体育指導委員、各体育協会など一体となって、生涯スポーツを支えていることを伺うことができた。

地域組織の部

埼玉県 健康・体力づくり上里町民会議(人口 31,164人、世帯数 10,309世帯)
担当課:上里町教育委員会生涯学習課スポーツ振興係 TEL:0495‐35‐1245

≪選 評≫ 東京医科大学衛生学公衆衛生学主任教授 下光輝一

上里町は、埼玉県県北に位置する人口31,164名のベッドタウンである。上里町は、早くから体育・スポーツ振興と健康の増進を上里町における教育の基本としている。昭和52年7月に制定された「教育尊重の町宣言」は、「町民の体育・スポーツを振興して、健康の増進と住民連帯意識の高揚を図る」とはっきりと謳っている。これは、旧厚生省が、第1次国民健康づくり施策を開始した昭和53年よりも前のことであり、特筆に値する。

本宣言に基づき、町民の健康と体力の増強および住民連帯意識の高揚を図るため、関係機関が相互の連絡を密にし、町民の自覚を高め、総合的な健康・体力づくり実践活動を推進することを目的として、昭和53年に「健康・体力づくり町民会議」が発足した。町民会議は、その下に上里町健康・体力づくり推進協議会を置いている。また、健康・体力づくり推進協議会は、小学校地域ごとに5つの健康・体力づくり振興会が組織され、さらにその地域健康・体力づくり振興会の下に合計35の支部健康・体力づくり振興会が組織されている。健康・体力づくり振興会は、地域ごとに年間事業計画が立てられ、活動が行われている。平成13年度を例に取れば、全町的な活動としては、歩け歩け運動、町民体育祭、地域親善スポーツ大会(ソフトバレーボール、インディアカ)、グラウンドゴルフ大会、町民ハイキング、元旦歩け走ろう会、健康まつり、健康講演会、健康づくり教室、マラソン大会などが企画されている。地域ごとの計画では、体力づくりに関しては、歩け歩け運動、グラウンドゴルフ大会、ゲートボール大会、マラソン大会、ソフトバレーボール練習、インディアカ練習などが、地域ごとに計画され活動が行われている。健康づくりの面からは、栄養教室、男性の料理教室などが地域ごとに企画されている。

体力づくり活動について個別に見てみると、地域住民のコミュニケーションの充実を目標として例年体育の日に行われる町民体育祭については、第33回(平成13年度)は町民の約1割、3,000名を超える参加者があった。また、歩け歩け運動については、地域の健康・体力づくり振興会ごとに企画され、5月から7月まで毎週1回4〜6㎞の距離の早朝ウォーキングを行っている。さらに、平成13年11月には、第27回町民ハイキングが鎌倉市の大仏ハイキングコースにて494名が参加して行われた。地域親善スポーツ大会は、春にはソフトバレーボール大会が78チームの参加のもとで行われ、秋にはインディアカ大会が同様にして行われている。スポーツ少年団活動も活発であり、23団体が登録され、指導者163名、団員623名で活動が行われている。以上のような体力づくり活動は、学校体育施設や町民体育館、総合グラウンドの町民への積極的な開放によりサポートされている。

一方、健康づくり活動は、上里町保健センターを中心に、栄養教室(33名)、健康講演会(110名)、健康づくり教室(27名)、男性の料理教室(40名)などが行われている。11月に開催された健康まつりでは、3,300名を超える参加者があった。その他、老人クラブを対象に高齢者いきいき教室が行われている。以上、健康づくりに関しては、保健センターが中心となって活動を行っている。体力づくりに関しては、町民会議の中の健康・体力づくり推進協議会が中心となって活発かつ組織的な活動を行っており、高く評価できる。

職域組織の部

旭化成株式会社 水島支社(従業員数 1,274人)
担当部門:健康管理センター TEL:086-458-2070

≪選 評≫ 東京医科大学衛生学公衆衛生学主任教授 下光輝一

水島支社と健康・体力づくり体制

旭化成工業株式会社水島支社は岡山県倉敷市水島コンビナートに位置し、エチレンプラントを中心に、ナフサ分解から各種中間製品、誘導品までを一貫して生産している従業員数1,274名の化学工場である。旭化成グループにおける健康・体力づくり運動は、昭和56年から全社的システムとして開始された。ジョギング人口の増加など、ある程度の成果が見られたが、文化・体育レクレーション行事主体であり、健康づくりの視点が乏しかったといえる。水島支社においては、健康・体力づくり運動が本格的に進められるようになったのは、平成3年に健康管理センターが発足し、内科医師有道氏がセンター長に就任されて以来である。健康管理センタースタッフは専属産業医1名、専任スタッフ1名、看護婦3名で構成されている。また、工場には、健康づくり会議のもとに、部署ごとに健康づくり組織があり、健康づくり推進員が置かれている。「健康・体力づくりは自己管理から」をモットーに、職制ライン・支社一丸となって、活動を行っている。

健康・体力づくりの特徴

センター発足当時は、工場の従業員のほとんどがマイカーやチャーターバス通勤であり、平成5年の時点の調査でも、月1〜2回以下の運動頻度の者(運動習慣のほとんどない者)が41.0%と圧倒的に多く、逆に週3〜4回以上の運動頻度の者は28.6%と少数であった。そこで、水島工場では、職場における健康・体力づくりの柱として、従業員全員を対象としてトリム活動を積極的に推進することとなった。トリム活動は、安全性を重視する立場から、だれもが参加できるウォーキングを中心に進められた。まず、広大な工場敷地を生かし、敷地内の歩道に100m毎の距離表示をして、ウォーキングコースを作った(2.5km)。さらに、平成4年から、職場での活動を活性化させることを目的として、1日研修コースを設け、毎年中災防から講師を呼びウォーキングの理論と実践を習得させ、職場のウォーキングリーダーを養成した。その結果、延べ150名がウォーキングリーダーとなり、現在、各部署で活動の中核として活躍している。これらの積極的なトリム活動の成果は、平成11年度の調査においてはっきりと現れ、月1〜2回以下の運動頻度の者が29.9%と10%も減少し、逆に週3〜4回以上の運動頻度の者が39.6%と11%も増加したことでも明らかである。

一方、生活習慣病予防教育については、健診後のフォローアップの一環として肥満、糖尿病、高血圧、肝臓病についての教室を毎年行っている。肥満は糖尿病、高血圧などの生活習慣病の重要な要因となっていることから、特に肥満指導に重点がおかれ、平成4年から肥満教室が開始された。平成6年からは高血圧教室と糖尿病教室、また平成8年から肝臓病教室が行われている。肥満教室については、ドロップアウトやリバウンドがあるためになかなか効果が得られなかったが、平成12年からは、新しい肥満指導理論、BOOCS (Brain Oriented Obesity Control System)理論に基づいたヘルスセミナー(1日コース)を開始した。セミナーは現在まで計5回行われ、延べ111名が参加した。セミナー受講者は、1年4ヵ月後のフォローアップで体重は平均2.9kg減少し、体脂肪率も5.2%低下している。全従業員における肥満者数も、平成11年年には162名存在したが、平成12年には128名、平成13年年には108名と著明に減少している。

水島支社における、健康・体力づくりの特徴は、先に述べた新しい理論に基づいた肥満教室の開催などが挙げられるが、それに加えて、健康増進・予防医学の実践に取組むためにクリニックを閉鎖し、水島支社の専属産業医に就任された有道医師が、健康づくりに大変熱心であられることであろう。なお、先生ご自身は、トライアスロン競技をわが国に導入された草分けのお一人であり、また青年時代よりジョガーとしてご自身を鍛えられており、健康・体力づくりの指導者としては、大変適格な方である。

以上より、水島支社における健康・体力づくり運動は、生活習慣病予防と体力づくりが有機的に結合し、かつその活動の成果が良く得られている。