公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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平成15年度 文部科学大臣賞受賞組織概要

市の部

京都府長岡京市(人口 77,918人、世帯数30,631世帯)
担当課:長岡京市教育委員会青少年スポーツ課 TEL:075-955-2121

昭和46年に優良社会体育団体として長岡京市の体育振興会に体育功労賞が授与されている。昭和58年には長岡京市に「体力つくり国民会議議長賞」が授与され、平成5—7年度には体力つくり運動地域事業の指定を受け、同市の健康・体力つくり運動は一層の推進をみることができた。

運動・スポーツ面で同市を特徴づけているのは、市内10の小学校区に配置されている「校区社会体育振興会」である。この統括組織が社会体育優良団体として過去に表彰されたわけであるが、その後も引き続き活発な活動を続けている。10月には、この10校区で一斉に開催される市民運動会には、市民のほぼ四分の一に当たる18,000人が参加する一大イベントとなっている。この活動の中からファミリーバドミントンやミニバレーボールなどの親子3世代が共に楽しむ市独自のスポーツ種目が開発・普及されている。そして、今年の5月には、この校区の1つである長岡第7小学校区に総合型地域スポーツクラブとして「長七みんなのスポーツクラブ」が誕生した。さらに、第9小学校区でも準備室が設けられている。

長岡京市は平成10年に「健康文化都市宣言」を宣言しているが、これは平成9年策定の健康文化と快適な暮らしのまち創造プランに基づいたものだが、この趣旨を発展させるべく「健康文化都市フェスタ」を開催するほか、高齢者の健康教室や妊婦・出産時の育児教室の開催、病態別健康教室を対象者に個別通知するなど市民に関心の高い行事を多彩に開催している。また、自治会や老人クラブのように地域に密着した組織と連動した健康教室を開催し、市民を巻き込んだ健康文化都市の形成に取り組んでいる。本年の4月には、「新保健計画」を策定し、新たな健康文化都市の形成を目指している。このように、長岡京市は全市をあげて健康・体力づくり運動に取り組み、その姿勢と実績は文部科学大臣賞にふさわしい組織として認められる。

沖縄県糸満市(人口 56,722人、世帯数 18,946世帯)
担当課:糸満市教育委員会指導部社会体育課 TEL:098-840-8164

糸満市は平成7年に「スポーツ健康都市宣言」を行っている。健康・体力づくり運動を特徴づけているのは、ターゲットを明白にした活動の多彩な展開である。まず児童・生徒をターゲットにした活動では、生涯学習振興課を中心とした「昔の遊び道具づくり講座」「無人島サバイバル体験」「いとまんキッズ探検隊」「海人になろう」などのように自分の力で生き抜く逞しい現代っ子を育てようとする意図を全面に押し出しての意欲的な取り組み方を示している。また、スポーツは健常者だけのものではないと、「障害者スポーツ祭り」を筆頭に「心身障害者が軽スポーツに親しむ教室」「知的障害者の親子キャンプ」「身障者のボウリング」「身障者と健常者の交流ピクニック」などの身障者を対象にしつつ健常者と共に楽しむ事業を社会福祉課、社会福祉協議会、身体障害者協会が協力して実施している。子どもの体力低下とバリアフリーが注目される今日、これらの活動は高く評価されよう。

一方、同市が重視しているのが、地域に根ざした健康・体力づくり活動の展開である。スポーツでは「地域巡回教室」を年16回開催しているし、健康づくり地域ネットワーク連絡会を設け、「健康講座」を開き、住民の住む地域での活動を展開し、その普及に腐心している。このように、地域に根ざした活動を重視しながら、市をあげてのイベントにも力を入れている。「糸満ハ—レー」「糸満大綱引き」は全国的にも著名なイベントとなっている。これらの活動を可能にしているのは、各字に設けられた自治会館を拠点とした青年、婦人、高齢者の性別、年齢別の横の「つながり」である。地域に根ざしたこれらの横断的組織が体育協会やその傘下組織として位置付けられたスポーツ少年団と種目別団体などのスポーツ組織、そしてヘルスボランティアを中心にしたネットワークシステムと共同する中で多くの事業を支えているわけである。地域に根ざした組織を活用することによってユニークな活動を展開している手法は他の範となろう。昨年には、高齢者健康づくりセンターとして「願寿館」がつくられ、ここを拠点として「ストレッチ教室」「健康スリム教室」などが常時開催され、一層の躍進が期待されている。

町村の部

秋田県大森町(人口 8,023人、世帯数 2,274世帯)
担当課:大森町教育委員会生涯学習係 TEL:0182-26-4073

自然豊かな農山村である大森町の町民は、約8,000人であるが、その30.8%が65歳以上人口である。全国平均が17.3%だから突出した高齢者率となっている。将来のわが国を先取りした超高齢社会となっているともいえる。そのためであろうか、保健施設の充実ぶりが目立つ。町立大森病院、保健福祉センター、老人保健施設「老健おおもり」特別養護老人ホーム「白寿園」などを集中的に保健医療福祉総合施設として建設し、「健康の丘」と命名している。これらの施設を中心として市民のボランティアで保健福祉組織が大きく成長してきている。即ち、「食生活改善推進協議会」「衛生班」「大森町福祉ボランティア」で、これらの組織への登録者数は住民の43%に相当する3500人である。「みんなが健康づくりプロジェクト」という健康づくりの基本構想が町民に広く行き渡った証拠を示していることになるが、住民の半数近くが参画する組織に育て上げた力は特筆されてよい。このためであろうか、乳幼児の死亡率は、全国平均が3.4%なのに、この3年間0.0%である。また、全死亡に占める65歳以上の死亡数の割合は97.8%であり、これも全国平均の78.6%を大きく上回っている。逆にいえば、若壮年層の死亡割合がいかに低いかを明白に示している。

運動・スポーツの施設も充実しており、体育館、多目的グランド、テニスコート、グランドゴルフ場、ゲートボール場、プールに加え屋内運動場まであり、保健施設と同様に集中的に建設され、「リゾート村」と名づけている。ここには、温泉を備えた保養施設もあり、住民に憩の場を提供している。これらの施設を利用した活動も当然のように活発で、特に地域性を生かした冬季のスポーツが盛んで、スキー、スケートの大会、教室が定期的に開催されている。また、「ギネス・レクフェスタ」と名づけた町独自のギネスに挑戦する種目を設けたり、「活き活き学園」では、高齢者を対象にしたレク種目、太極拳,水泳などの教室を開き好評を博している。健康・体力づくりに関する充実した施設と住民を巻き込んだ関連組織の確立は文部科学大臣賞にふさわしいと認められる。

沖縄県北谷町(人口 26,153人、世帯数 8,918世帯)
担当課:北谷町教育委員会社会教育課 TEL:098-982-7707

北谷町は平成8年に「健康文化と快適なくらしのまちの創造プラン」によるモデル市町村の指定を受け、自然と調和した安全で快適な町(健康福祉都市)、明るい未来を育てる町(文化教養都市)、豊かな明日を築く町(産業都市)を3本柱とした健康・体力づくりの推進と町づくりを結合させた標題を掲げて行政と住民が一体となって取り組んできた。その一貫として、スポーツの生活化を図ることを目標に「町民一人一スポーツ」を提唱してきている。その成果は顕著で、陸上競技場、野球場、プールなど12あるスポーツ施設の昨年の利用者数は年間で70,000人、利用回数は5,000回を数え、利用の調整に苦慮する活況を呈している。町体育協会、ソフトボール協会、ゲートボール協会、グランドゴルフ協会への登録者数は住民の10%に達している。さらに、老人クラブ、PTA、婦人会、青年会といった住民組織もスポーツ活動を推進している。このようにスポーツ活動が盛んな中で、特にスポーツ少年団の活動が盛んで小学生約400人が登録し、県内では抜きん出た登録者数となっている。また、中学校では部活動に外部指導者を「部活動指導員」として16人を委嘱し、中学生の体力向上と技術力向上に貢献をしている。時代を担う児童・生徒に基礎体力をつけてもらう意図であるが、大きな成果をあげている。

平成13年度からは、教育委員会、保健、福祉の関連各課が共同しつつ、町民による組織と連携し「健康・運動・福祉祭り」を開催し町民から喝采をうけている。これは、従来から批判の多かった縦割り行政の是正と町民の主体的参加を狙ったものであるが、予期以上の成果をあげることができた。福祉ボランティア、母子保健推進員、体育指導委員、スポーツ少年団指導員といった住民組織と行政の共同作業は健康・体力づくりに関する新たな躍進を約束するものであった。また、トリムマラソン、シーポートカーニバル、町民運動会などの各種イベントも町民が自ら運営に関わろうとする芽が、この数年の間に大きく育ってきている。このように、町民が主体となって健康・体力づくりに取り組んでいこうとする北谷町の姿勢は高く評価されてよい。

地域組織の部

茨城県石下町体力つくり推進協議会(人口 24,584人、世帯数 7,252世帯)
担当課:石下町教育委員会社会スポーツ振興課 TEL:0297-43-8311

石下町体力つくり推進協議会は会長に町長、顧問に教育長を据え、体育協会の会長、副会長、スポーツ少年団の本部長、副本部長、体育指導委員長、副委員長、食生活推進協議会会長、健康委員代表、学校開放委員会代表で構成されている。町内の運動・スポーツと保健栄養に係る統括組織の主要メンバーを取り込んだ組織としていることになる。この組織に行政面から教育委員会スポーツ振興課と保健課がバックアップ体制をつくり支えている。さらに、保健師、栄養士の専門職に前記した各団体の代表者で企画・指導の全容や細部を詰めて住民に提供する体制を整えている。

特にユニークなのが「石下町健康委員等設置要綱」に基づいた健康委員、副委員の制度である。その目的は「石下町の住民の健康を守るため、保健衛生思想の向上を目指し、疾病予防の重要性を広めるために、石下町健康委員並びに副健康委員を設置し住民の健康づくりに寄与すること」であり、健康委員136人、副健康委員に126人が委嘱されている。彼らを中心に検診の推進、母子保健の協力、献血推進といった定例的事業以外に「ウォーキング会」「高齢者閉じこもり半減対策事業」「健康予防教室」「転倒予防教室」「生きがい教室」などの多くの事業を住民に入り込んで展開している。また、高齢者地区リーダーを養成し、彼らが高齢者の訪問指導をする施策を住民の手で推進している。

運動・スポーツ面では、体育協会への住民の加入率の高さが目につく。会員数は2,990人と住民の10%を越えているし、スポーツ少年団員も415人、指導者67人と県内では極めて高い加入率を示している。これらの会員(団員)が自主的に定期的練習会を開き、同時に児童・生徒そして親にも参加を呼びかけ住民全般への普及にも努力している。さらに、こうしたスポーツだけではなく、住民のフィットネスを高める「フィットネス講習会」「トレーニング講習会」「いきいき運動教室」「ダイエット教室」など住民のニーズを同協議会がしっかり受け止めた行事を多彩に展開している。住民が主動力となった同協議会の活動は高く評価されてよい。

新潟県松之山町体育協会(人口 3,093人、世帯数 1,127世帯)
担当課:松之山町教育委員会教育学習課 TEL:025-596-2265

松之山町の人口は、僅か3,093人に過ぎない。しかも、65歳以上人口の全町民に占める割合は何と41.2%である。この数値は既に50%を超えている3町村と比べれば低いことになるが、高齢化率では上位の町である。これだけの高齢化率なのに、70歳以上の1人当たりの医療費は489,681円と信じられないほどに低い。全国平均が85万円であることを考えると驚異的な低さといってよい。これを裏付けるように、国民健康保険の1人当たり金額も245,243円と、これまた全国平均の352,939円より10万円近くも低くなっている。このような市町村が増えれば、社会的に関心を呼んでいる医療費の高騰に歯止めをかけるどころか、減らすことができる。一体、どんな理由があるのだろうか。

松之山体育協会の前身は松之山町体力つくり推進協議会である。昭和55年に国民会議議長賞を授与されているが、この翌年に町民体育館が竣工され、これを契機に町の保健・栄養と運動・スポーツを総括する組織の一本化を図ることになった。中核組織として浮上したのが、歴史もあり、町民の全員が加盟している体育協会の存在であった。6地区に分かれた体育協会の地区協会には町民全員が加盟している。この全町民を包み込んだ体育協会に保健・栄養部門を含めた新組織が昭和55年に誕生した。食生活改善推進協議会、健康づくり推進協議会、母子保健推進連絡協議会といった保健関連組織を包括した全国的にも極めて稀な事例といえる。特に、「食生活推進委員」の活躍は目覚しく、食品生活改善指導では町民2,000人を対象にしている。また、「早朝尿検診」「チーズ販売」「高血圧予防活動」「集落での個別健康相談」など、塩分の多量摂取の抑制に努めた。また、地区毎の日常的な運動の促進にも努めた。特に地域がら冬季の降雪のために外に出られないことを防ぐために雪上運動会、クロスカントリースキーの教室や大会を開催することによって、運動の生活化を目指した。こうした栄養・運動の実践によって冒頭に記した医療費の抑制に繋がったといえよう。小さな町の大きな成果である。松之山町体育協会のこうした活動は、高く高く評価されてよい。

職域組織の部

住友金属工業株式会社 和歌山製鉄所(従業員数 2,242人)
担当部門:和歌山安全健康室 TEL:073-454-4108

従業員2200余人を有する同製鉄所では、昭和50年代に入り、従業員の高齢化とそれに伴う生活習慣病の増加に歯止めをかける必要性が高まってきた。タイミングよく、旧労働省がSHP(シルバーへルスプラン)を提唱したので、この波に乗って「ヘルスケアリーダー」の養成に乗り出した。そして、昭和58年には「三減運動」(タバコ、塩分、カロリー摂取の抑制)を開始した。さらに60年には「グッドへルスプラン」を策定し、翌61年には5月を健康づくり強調月間として様々な啓発活動を重点的に展開した。

同社が本格的に取り組むようになったのは平成元年からである。まず中央労働災害防止協会の実施しているヘルスケアリーダー養成講座に35名を派遣し、指導者を養成することでから始めた。会社の所属(部・課などの単位)が35ヶ所だからである。この養成を平成2年に終了し、彼らを中核として全管理・監督者1,290人を対象に健康保持増進教育を実施した。まず、管理・監督にある者の理解が職場での推進に欠かせないからである。こうした一連の教育活動を経て平成5年から全従業員を対象とした健康度測定を実施することにした。内臓脂肪量の測定、血中脂質、血糖値、血圧、体力測定(運動負荷テストを含む)などを測定すると共に、社独自でのヘルスケアリーダーを養成し、平成7年には「ヤング5運動」(5歳若返り運動)を提唱した。従業員が職場で気軽に測定が可能なように、各所属に血圧計、体脂肪測定器を配置した。また、全従業員に健康手帳を配布し、通信教育によって個別の指導を行う体制を整えた。「行動変容理論」という最新の知見を取り入れたものだが、この効果は高く、運動開始者151人、禁煙者153人、食事改善者819人という成果をあげると共に、フィットネス実践者は生活習慣病関連の医療費が20%前後低い、指導回数と危険要素の低減は相関がある、運動実践者は有所見者が減るなどのデータを積み重ねることに成功している。健康・体力づくりの実践とその評価を科学的に捉えようとしている同社の姿勢は景気の低迷と共に、健康・体力対策から撤退する企業の多い中で賞賛されるべき事例として評価されよう。