公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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平成16年度 内閣総理大臣賞受賞組織概要

市の部

東京都三鷹市(総人口 169,187人、世帯数 81,716世帯)
担当課:教育委員会スポーツ振興課 TEL:0422-45-1151

≪選 評≫ 東京大学教授 小林寛道

三鷹市の人口は16.9万人で、健康・体力つくりに熱心な自治体である。昭和49年に国民会議議長賞、平成元年に総務長官賞を受賞している。平成元年からニュースポーツの普及に力を入れ、自主グループを誕生させ、体育指導委員の世話役で、三鷹市体育協会(加盟数33団体)に加盟する団体に成長している。平成10年には学校施設の開放に関する条例が制定され、市内全域の市立小学校(15校)、中学校(7校)、が開放され、市民の文化活動、スポーツ等の地域活動の場として活用されている。利用施設は、校庭、体育館、会議室、多目的室、プール、テニスコートである。開放中に怪我をしたときは、保険制度(三鷹市市民活動災害保険、三鷹市スポーツ傷害見舞金)が充実している。三鷹市スポーツ傷害見舞金支給条例は昭和48年に制定され、市民の活動を安全面で支えている。

三鷹市スポーツ振興審議会(委員15名)は、平成13年に「地域スポーツの推進方策について」(答申)を行うにあたって、4つの分科会に分けて調査、研究(市民に対するアンケート調査等)を行なった。人口10〜20万人の都市の1000人当たりのクラブ組織数は全国平均3.35であるが、三鷹市は4.71で、755クラブと組織率が高い。これには、三鷹方式と呼ばれる、市民スポーツ活動の組織化と、昭和50年代のコミュニティ-センターを拠点とする市民の諸活動の振興施策の成果が現れた結果であると分析されている。スポーツ振興審議会の会長には、東京大学名誉教授である渡辺融氏が就任し、スポーツ活動に対する認識を高める役割を果たしている。また、全国体育指導員連合会の会長を勤めた沢登貞行氏は、数十年に渡って三鷹市の体育指導員を勤め、多くの人に社会体育の振興とその普及に勤めた。このことが、住民のスポーツ環境の充実と、市民を中心とした体力や健康の増進の為の実際的な活動を喚起し、市民の意見を多く取り入れたきめ細かい行政が行われていることに繋がっている、と評価されている。また、「総合型地域スポーツクラブ」の実現にむけた方策を提言し、その実現に向けた努力を続けている。平成13年度に「第三次三鷹市基本計画」が策定され、健康体力つくりへの積極的な展開が計画されている。

保健栄養部門では、「三鷹福祉プラン21」が策定され、コミュニティーセンターを主体とする保健・健康づくりへの転換をはかると共に、「三鷹市総合保健センター」がオープンして妊産婦、乳幼児から高齢者までの一貫した保健サービスを実施し、成果を挙げている。また、三鷹市では、男性の平均寿命が80歳を超え、スポーツ活動や市民の生活環境や保健衛生に関する意識が高いことが、健康長寿の要因として考えられる、と分析されている。

三鷹市の特徴は、学校開放が進んでおり、安全管理も住民の組織で行われている。利用人数は、年間25.6万人である。施設は、大規模なものはなく、市民の使い勝手が良いように作られており、市民の自治的組織によって行政と良くタイアップして運営がなされている。
このように健康づくりや体力づくりの活動に長い間の実績を積んできた三鷹市は、内閣総理大臣賞にふさわしいと考えられる。

町村の部

山口県秋芳町(総人口 6,518人、世帯数2,310世帯)
担当課:教育委員会社会教育課 TEL:0837-62-1923

≪選 評≫ 順天堂大学名誉教授 武井正子

秋芳町は、秋吉台をはじめ、豊かな自然に恵まれた地域であり、人口は約6,500人、総人口に占める65歳以上の割合は32.1%で、少子高齢化が進んでいる。秋芳町の健康・体力づくりの特徴は、豊かな自然を誇りに、自然を生かしながら一人ひとりにやさしい心豊かな活動を展開していることである。平成9年度総務庁長官賞受賞後、翌年には、総合運動公園を完成させ、町民「一学習、一スポーツ、一ボランティア」の実践をすすめようと、様々な取り組みが行われている。

スポーツの取り組みでは、誰もが気軽に参加できるスポーツ・レクリエーション大会を全町、学校区、公民館単位、また、体育協会加盟団体別に企画運営、開催すると共に実行委員会が運営する町民体育大会を「球技」「陸上競技」に分け、年2回実施している。昨年の参加者数は1,300人であった(町民の20%が参加)。総合運動場では夜間照明を22時まで行っており、遅くまでウォーキング、ジョギングの利用者が見られる。ちなみにジョギングコースの利用者は、年々増加傾向にあり、14年度6,473名から15年度7,876名に増加している。また、体力・健康づくり推進活動の一貫として、自然をいかしたカルスト高原健康マラソン大会を開催し、町内外からの2,000余名の参加を得ている。さらに、秋吉台を舞台にウォーキングコースを設定し、16年度からは観光商工課などとタイアップして、「秋吉台カルストウォーキング2004」を計画し、今後、全国への参加呼びかけを企画している。

健康づくりの取り組みでは、平成14年度から「豊かな自然とぬくもりがふれあう町、秋吉に向けて」をテーマに健康な町づくりを推進する「健幸しゅうほう21」の策定に取り組み、平成16年から20年までの5年間で計画を推進しようとしている。具体的行動は「旬の野菜と程よい塩加減で、健幸をめざそう」をテーマに子ども世代、若年〜中年世代、高齢者世代ごとの目標を明確化し、取り組みやすいように示すと共に、子どもを中心とした三世代交流の稲作りなどが実施されている。

秋芳町の健康・体力づくりは、住民一人ひとりが主役で教育委員会社会教育課や保健センターが住民の活動をサポートしている様子を見ることができた。これは、住民主体のヘルスプロモーションに基づいて、具体的な行動がなされていることであり、高く評価できる。また、教育委員会と保健センターが密接に連携しながら、関係諸機関、諸団体の協力体制を作り、豊かな自然を郷土の誇りとしながら、特に子ども時代からのこころとからだの健康に目を向け、大人が暖かく支えている様子も地域子ども教室(子どもの居場所づくり)や地域子どもセンターの活動報告から窺い知ることができた。21世紀を担う子どもたちの豊かな成長に向けて、総合的な取り組みがなされていること、健康を広く捉え、ネットワークが機能していることを評価したい。

地域組織の部

石川県 金沢・健康を守る市民の会(人口 457,836人、世帯数 183,098世帯)
担当課:保健福祉部保健衛生課 TEL:076-222-0102

≪選 評≫ 東京医科大学教授 下光輝一

金沢市は、かつて加賀百万石の城下町として栄えた人口約46万人の都市である。

金沢・健康を守る市民の会は、昭和48年に金沢医師会、公民館連合会、婦人会連絡協議会、町会連合会などが討議を重ね、「自分の健康は自分の手で守らなければならない。そのためには、地域の人たちが手を取り合い健康・体力増進運動をすすめることが必要である」という理念の下に発足した。その後、金沢・健康を守る市民の会は活発に活動を続け、行政主導型の健康体力づくりではなく市民主体で市民のニーズに合致した健康体力づくり活動に取り組んでいる。平成9年にはそれらの活動が評価され、健康・体力づくり事業財団から総務庁長官賞を受賞している。さらに、平成10年には、がん啓発活動が評価され、石川県知事賞を受賞している。

金沢・健康を守る市民の会は、金沢総合健康センターに事務局が置かれ、理事会の指導の下、事務方3名と保健師・看護師2名の計5名の常勤スタッフでしっかりと運営されている。また現在、62のすべての小学校区に、2,269名の健康推進委員、263名の運動普及推進員がおり、地域に密着したきめ細かい健康・体力づくり事業が展開されている。

体力づくりに関しては、平成14年度からは高齢者の介護予防の観点から、筋力向上による転倒予防を目的とした「高齢者健康づくり体力増進教室」が行われており、平成15年度には40回実施され延1,086名が参加している。教室修了者はOB会を結成して、自主活動として積極的で継続的な健康体力づくりに勤めている。さらに、筋力トレーニングに特化した事業として「高齢者筋力向上トレーニング教室」も実施されており、高齢者のQOLを高める試みが積極的になされている。教室を実際に参観したが、スタッフと参加者の交流の中で体力づくり効果のみならず、仲間づくりや社会参加へのきっかけとなる効果もうかがわれた。

一方、健康づくりに関しては、市民の健康意識を高め、生活をより健康的なものにするために、平成12年度から「いきいき健康まちづくり事業」を展開している。これは、市民の会のモデル事業として地域ぐるみで健康教室を企画し、年に10回程度教室を開催するというもので、最初の2年間は市民の会事務局や福祉保健センターがプログラム作成などの企画を支援する形で実施され、3年目からは、地区の健康推進委員や運動普及推進員などを中心とした市民の自主的・主体的な活動へ移行させていくという形をとっている。本事業は、市民参加型の健康づくり運動を追求したものであり、国の健康づくり運動「健康日本21」の趣旨を先取りしたものと云え、高く評価できる。「健康日本21」を受けて平成15年に策定された「金沢健康プラン」では、金沢市民の自主的な健康づくり実践の重要な支援組織として金沢・健康を守る市民の会が位置づけられており、昭和48年から活動している市民の会の実績が生かされているものと評価できる。

以上より、金沢・健康を守る市民の会は、内閣総理大臣賞を受賞するのにふさわしい組織と考えられる。

職域組織の部

三井化学株式会社(従業員数 9,181人)
担当部門:労制部 TEL:03-6253-2285

≪選 評≫ 東京大学教授 小林寛道

三井化学株式会社は、本社(東京都港区)のほか、市原、袖ヶ浦、名古屋、大阪、岩国、大牟田に工場を持つ化学原料を生産する優良会社である。昭和54年に岩国工場において社員の高齢化対策として「心とからだの健康づくり」をスローガンとして組織的な健康づくり活動がスタートしたのを契機に、全国の各工場もそれぞれの方針と組織を持って健康づくりを推進している。また、会社の基本方針の中に「安全・労働衛生」を明確に取りこみ、労働安全衛生規則の中には従業員の健康の確保とともに、産業医の役割まで明確に謳われており、全社をあげての健康・体力つくりの取り組みが顕著である。これらの活動について、これまで、労働衛生優良賞(労働大臣 昭和50、55年)、企業フィットネス努力賞((社)日本経営協会 平成5年)、総務庁長官賞(健康・体力づくり事業財団 平成12年)などを受賞している。全社員数は、9,180人で、男子8,350人、女子830人であり、社員の平均年齢は、男子43.2歳、女子35.4歳である。男子では、50歳代が35.7%を占め、もっとも割合いが多い。社員の健康管理は、健康管理室が担当し、健康管理室のスタッフは、本社6人、市原10人、大牟田9人、岩国7人、大阪6人、袖ヶ浦5人、名古屋4人である。健康増進職場リーダーが全体で263人おり、市原工場には64人、名古屋工場には67人がいる。

市原工場の例を挙げると、社員の健康・体力つくりを推進するために昭和62年にそれまでの「健康づくり企画委員会」と「文化体育会」が統合して、「健友会」が組織され、市原工場長を会長として、茂原センター、袖ヶ浦センターの3事業所を一体とした活動が行われている。職場ヘルスリーダーは、社内の様々な行事(親睦、健康維持、増進に関するもの)を企画実行する役割を持っている。工場勤務の現場作業に従事する500人は3交代勤務となっており、また、若い人はほとんどが会社の寮に住み、食事の管理や健康状態の管理もしっかりとなされている。

運動施設も充実しており、工場内敷地には、グラウンド、サッカーコート、テニスコート、体育館、トレーニングジム、などがある。また24時間利用可能な大浴場もある。寮の近くにも運動施設があり、よく利用されているとの事である。恵まれた運度施設は地域住民にも利用させている。
社員の健康や運動に関する関心は高く、運動サークルの活動が盛んである。健康管理面では、心臓循環器系統の疾患は減少傾向にあるが、精神的な症状をもつ社員が増加している事が挙げられる。このことは、この職場に限らず、一般的な傾向である。

全社ではグラウンド・体育館施設など68施設、エルゴメータ67台、保養所6箇所を持ち、スポーツ施設とは5社と契約している。職場の健康管理に周到な取り組みを行っており、産業医の意欲も高い。工場での事故は長期間無いようで、無事故達成記録を更新中である旨の大きな標記がなされている。全体に、恵まれた労働環境で、社員が健康に留意しながら勤務できている様子が伺われ、この点からも、内閣総理大臣表彰に値すると思われる。