認知症を理解する
- はじめに
- 認知症患者さんを理解するための基本的な立場について
- 形態面からみた変化
- 生まれてから死ぬまでの生物としての変化を加齢変化(aging:エイジング)といいます。そのうち成長し一定のできあがったからだとこころが変化してく過程を老化とよんでいます。
- 代謝面からみた変化
- 加齢に伴いさまざまなレベルでの変化がみられますが、生体内の代謝に関わる化学的変化もみられます。
- 機能面から見た変化
- 一般に、安静時の生理的機能では目立った加齢変化はみられませんが、外からストレスが加わった時の反応をみると、有意な差がみられます。
- 人格の変化
- 一般的に高齢者の人格特徴は、頑固で自分中心に考えやすく、内向的で用心深いといわれています。
- 知能の年齢による変化
- これまで、 知能は幼児期、学童期、青年期と発達し、20歳代でピークに達したあとは低下すると考えられていました。
- 認知症とは
- 認知症とは、いったん正常に発達した知能が、脳の病的な変化により低下し、日常生活上あるいは社会生活上支障をきたした状態をいいます。
- 加齢に伴う(正常範囲内の)記憶障害
- 認知症の診断の際、その主要症状である記憶障害が病的なものであるのか、あるいは健康な高齢者にもみられる正常な老化の範囲内といってよいものなのかが問題になることがあります。
- 認知症の原因疾患
- 認知症をきたす原因疾患としては、神経変性疾患をはじめとする様々な原因があげられます。
- 認知症の程度の評価
- 認知症の程度を評価する方法には、心理検査による評価法と行動観察による評価法とがあります。
- せん妄
- せん妄とは、軽度の意識障害に、幻覚や被害妄想、興奮、徘徊などの精神症状や行動障害を伴う病態です。
- うつ病
- 老年期のうつ病では、意欲の低下、注意集中困難の他、記憶力の減退がみられることがあり、認知症との鑑別が問題になることがあります。
- 認知症診断に際して
- 認知症という診断名は誤解されやすいものです。「老年期における精神障害」で述べた正常範囲内のものや、せん妄、うつ病などによる同様の症状はときに見分けが非常に難しいことがあります。
- 認知症診断時の注意点
- 認知症の臨床症状は、多くの機能障害を巻き込んだ形として現れ、脳機能の個々の要素に分けるのはなかなか難しいことが多いのです。
- 前認知症にみられる記憶障害や対人反応の特徴は
- 短期記憶、ついさっきが一番苦手等様々な特徴がみられます。
- アルツハイマー型認知症とは
- アルツハイマー型認知症は記憶障害を初発症状とし、次第に見当識障害、計算障害、失語・失行・失認などの巣症状を伴って知的機能の荒廃により人格崩壊をきたし、最終的には臥床状態となる疾患です。
- アルツハイマー型認知症の危険因子
- ある調査によるとアルツハイマー型認知症患者の多くは、4つの特徴を持っていたことがわかりました。
- アルツハイマー型認知症の臨床症状
- アルツハイマー型認知症の臨床症状は中核症状と周辺症状に分けられます。中核
症状は記憶障害、高次皮質機能障害、人格崩壊と行動能力の消失を軸にして、進
行によって重層的に重症化していきます。
- 血管性認知症
- 血管性認知症は脳血管障害によって生じる認知症です。その病変の広がりから、3つに大別されます。
- 正常圧水頭症
- 水頭症とは、髄液の産生と吸収のバランスが乱れたり、あるいは髄液の流れが阻害されて脳室などに髄液が滞り、そのため脳室の拡大がおこり、同時に頭蓋内圧が上昇し、頭痛、嘔吐、意識障害などをきたす疾患です。
- 行動異常の起こる仕組み
- 認知症老人に多くみられる行動異常としては、ここで取り上げるように、妄想と幻覚、徘徊、不潔行為、暴力、性的逸脱などがあります。
- 妄想と幻覚
- ここでは、認知症老人の行動異常と関係の深い妄想として、物盗られ妄想、帰宅妄想を取り上げ、幻覚がある場合を含め対策について考えます。
- 徘徊
- 徘徊は認知症老人にみられる行動異常で最も頻度の高いもののひとつです。徘徊について考えるには、よく観察することが大事です。
- 不潔行為
- 不潔行為も認知症老人によくみられる行動異常の1つです。主に排泄に関連した行動がうまくできないために起こります。
- 暴力
- 暴力行為は、主に重症認知症患者にみられます。言葉が通じず、周りの状況の認識ができないため、ちょっとした周囲の変化に対して脅威を感じ興奮します。
- 性的逸脱
- 性的逸脱行動は、主として認知症患者が自分の年齢に関する見当識を失った場合や、人格崩壊が進み抑制欠如の状態になった時に起こりやすい症状です。
- 認知症老年者
- 老化に関連した脳の変化が著しくなるとともに睡眠・覚醒障害は多くなります。ひどい場合には、昼夜が逆転したり、1日中うとうとして睡眠・覚醒リズムが非常に不規則となります。
- 家族・介護者への理解
- 認知症性老人は、記憶、思考、了解、判断、見当識、学習能力、言語などの障害を
持ち、1人で日常生活を送ることが出来なくなります。
- 家族への支援
- 生活の様々な場面で介護を担うことになるのは家族です。ここでは介護者である家族に対する3つの主な支援について述べてみます。
- 財産管理
- 高齢者が保有している年金や貯蓄あるいは住宅などの財産は、本来「老後の蓄え」であって、本人のために有効に使われるべきものといえます。
- 医療サービス
- 老人性認知症疾患治療研究センターなどの情報を見る事ができます。
- 保健サービス
- 精神保健福祉センターなどの保健サービスの情報を見る事ができます。
- 福祉サービス
- ホームヘルプサービスなどの福祉サービスの情報を見る事ができます。
- 関係団体
- (社)認知症の人と家族の会などの関係団体の情報を見る事ができます。
- 地域のネットワークづくりと他職種との連携
- 高齢者サービス総合調整推進会議などの様々な取組みを見る事ができます。