認知症理解する
地域のネットワークづくりと他職種との連携
1) 推進会議
昭和62年6月に、保健と福祉の推進体制を充実強化するために、国から通知が
出され、都道府県、保健所、市町村の各レベルでの連携調整機能が位置づけられ
ました。
①高齢者サービス総合調整推進会議
都道府県・指定都市に設置され、高齢者に関する医療、保健、福祉の各種サー
ビスの総合推進のために、関係部局や関係団体等との協調関係を確立することを
目的としています。
②保健所保健福祉サービス調整推進会議
在宅サービスを担う保健、医療、福祉等の関係者の連携強化を図り、保健婦の
訪問活動を効率的に推進することを目的としています。
③高齢者サービス調整チーム
個々の高齢者の需要に見合う適切なサービスを提供するために、保健、医療、
福祉にかかわる各種サービスを総合的に調整推進することを目的として、市町村
に設置されています。
2) 徘徊老人SOSネットワークづくり
現在、38都道府県で、地域全体で認知症老人を見守る仕組みづくりに取り組んでい
ます。地域によって体制に違いはありますが、お年寄りの行方がわからなくなった場
合、家族が地元の警察署の生活安全課に連絡し、警察署が市町村の担当課、保
健所、専門病院、医師、消防署、タクシー会社、地域のケーブルテレビ、地元の放
送局、福祉施設等に連絡して協力して捜索活動を行なっています。
なお、最近では、カーナビゲーションや携帯電話・PHS等を利用して徘徊老人の
居場所を確める機器も開発されテストが行われています。
ネットワークシステムを整備する一方で、介護している家族としても、日ごろ立ち
寄ることが予測されるところや、近隣、お店の人などに事情を話しておき、協力を依
頼しておくことも大切です。
また、保護した場合すぐに連絡できるように、衣類に連絡先を縫い付けておくこと
も必要です。縫い付け方のポイントとしては、「呆け老人を抱える家族の会」が全国
的に家族に普及している方法が適切と考えられます(図13)。
図13 連絡先の縫いつけかたのポイント
●洋服の前に名札のように付けると、自尊心を傷つけ、本人が外してしまいます。
衿の表側に「連絡先」と書きましょう。
●表側に電話番号を付けると、イタズラ電話をされる恐れがあります。
衿の裏側に具体的な「連絡先の内容」を書きます。
●旧姓を書くのは、本人が昔の記憶に戻っており、旧姓に反応するからです。