認知症理解する
知能の年齢による変化
これまで、 知能は幼児期、学童期、青年期と発達し、20歳代でピークに達した
あとは低下すると考えられていました。 しかし、最近では知能には流動性知能と
結晶性知能とがあり、それぞれ加齢による変化に違いがあることがわかってきま
した(図6)。
図6 知能の生涯発達曲線
資料:東京都老人総合研究所編、サクセスフル・エイジング(老化を理解するために)、
ワールドプランニング、東京、1998
流動性知能: 新しいものを学習したり覚えたりするような、経験の影響を受けるこ
とが少ない、むしろ生まれながらもっている能力に左右される知能を
いいます。この能力は30歳代にピークに達したあと60歳ごろまでは
維持されます。そしてそれ以降は急速に低下していきます。このよう
に流動性知能が老年期以降低下することは、加齢に伴う脳機能変
化と関連したもので、いわば正常な老化性変化と思われます。
結晶性知能:一般的知識や判断力、理解力などで過去に習得した知識や経験をも
とにして日常生活の状況に対処する能力です。この能力は、60歳ご
ろまで徐々に上昇し、 その後は緩やかに低下していきます。しかし、
結晶性知能は、70歳、80歳になればなだらかに低下するもののそ
のレベルは20歳代に近い能力が維待されています。 このことは高
齢になっても何かを学び習得することが十分可能であることを示して
います。