認知症理解する
認知症診断に際して
認知症という診断名は誤解されやすいものです。「老年期における精神障害」で述
べた正常範囲内のものや、せん妄、うつ病などによる同様の症状はときに見分け
が非常に難しいことがあります。国際的にもこれまでいろいろと検討がなされ診断
基準も変ってきています。最近の考えでは認知症と診断するためには少なくとも症状
や障害が6ヶ月以上継続していることが必要とされています。あまりに早く認知症と診
断してしまうと、リハビリテーションや他の治療可能な病気との鑑別が消極的になっ
てしまうおそれがあるからです。
認知症の診断には他の病気と同じように、病歴等の詳しい聴取と診察が大切です。
しかも、長い経過の慢性疾患ですから適確に家族から情報を得るには、ポイントを
知っておくことも必要になります。その上で、いくつかの補助としての検査が選ばれ
ます。認知症の場合は、質問紙による記憶テストなどによりその程度を判定すること
が多いので、ここではミニメンタルテストを紹介します。
この検査は、認知症のスクリーニングテストで、11項目の言語性と動作性のテスト
からできています。満点は30点で20点以下ですと認知症の疑いがもたれます。設
問3では設問5のために誤答・無答があれば6回まで繰返しますが、できなければ
設問5はとばします。
表7 ミニメンタルテスト
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質 問 内 容 | 回 答 | 得点 | ||
1 (5点) |
今年は平成何年ですか。 今の季節は何ですか。 今日は何曜日ですか。 今日は何月何日ですか。 |
年 |
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曜日 |
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月 |
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日 |
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2 (5点) |
ここは何県ですか。 ここは何市ですか。 ここは何病院ですか。 ここは何階ですか。 ここは何地方ですか。(例:関東地方) |
県 |
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市 |
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階 |
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3 (3点) |
物品名3個(相互に無関係) 検者は物の名前を1秒間に1個ずつ言う。その後、 被検者に繰り返させる。 正答1個につき1点を与える。3個すべて言うまで 繰り返す(6回まで)。 何回繰り返したかを記せ 回 |
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4 (5点) |
100から順に7をひく(5回まで)、あるいは 「フジノヤマ」を逆唱させる。 |
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5 (3点) |
3で提示した物品名を再度復唱させる。 |
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6 (2点) |
(時計を見せながら)これは何ですか。 (鉛筆を見せながら)これは何ですか。 |
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7 (1点) |
次の文章を繰り返す。 「みんなで、力を合わせて網を引きます。」 |
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8 (3点) |
(3段階の命令) 「右手にこの紙を持って下さい」 「それを半分に折りたたんで下さい」 「机の上に置いてください」 |
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9 (1点) |
(次の文章を読んで、その指示に従ってください) 「眼を閉じなさい」 |
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10 (1点) |
(何か文章を書いて下さい) |
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11 (1点) |
(次の図形を書いて下さい) |
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