認知症理解する
せん妄
せん妄とは、軽度の意識障害に、幻覚や被害妄想、興奮、徘徊などの精神症状
や行動障害を伴う病態です。通常、感染や脱水、電解質異常、脳血管障害など何
らかの身体要因あるいは薬物、アルコールなどによって生じます。
せん妄では、集中力が低下し、ひとつのことに持続して注意を向けることが困難
になり、話の内容はまとまらず、話題があちこちにとんでしまいます。また、せん妄
時の言動や体験したことについては、回復してからも、思い出すことができません。
せん妄の発症は比較的急激で、1日の時間経過の中でもしっかりしている時と混乱
してつじつまの合わない言動や行動がみられる時との差が激しく、状態の変動が著
しいことが特徴です。認知症との主な鑑別点をまとめると表5のようになります。
表5 認知症とせん妄の鑑別点
せん妄 | 認知症 | |
発 症 の し か た |
急激に発症 | 徐々に発症 |
症 状 の 持続期間 |
数日から数週で、 通常は1ヶ月以内 |
数ヶ月から数年以 上で、進行性 |
症 状 の 動 揺 性 |
多い しばしば夕方から 夜間にかけて症状 が悪化する |
少ない |
見 当 識 | 通常障害される | 重症度に応じて時 間、場所、人物の 順に障害される |
注 意 | 注意集中が困難 | 保たれている |
自律神経 症 状 |
発汗、頻脈などの 自律神経症状がし ばしばみられる |
正常 |