睡眠
昼間の異常な眠気があるとき
昔から「早起きは三文の得」「惰眠をむさぼる」などといわれ、日中に睡眠をとったり眠気を訴える人は怠け者、あるいは夜遊びばかりしている者として否定的にとらえられてきました。不眠症は比較的頻度の高い疾患であり、健康な人々にもその症状やつらさが容易に推測できるのに対して、過眠症はまれであるうえ、「夜は寝ているのになぜ?」となかなか理解してもらえません。過眠症の患者は日中の眠気のため集中力に欠け、仕事や勉強の能率が上がらないため、会社や学校で問題になり、患者の社会生活上大きな問題となります。しかし、患者自身が病気とは思わず、周囲の人々も「怠け者」としてすませてしまっている場合が多く、医療機関を全く受診しない人や、症状が発現してから長期間たってから医療機関を受診する患者が少なくありません。 |
過眠症とは、日中の過剰な眠気が慢性的に、もしくは一定期間持続する一群の疾患の総称です。この中には、夜間の不十分な睡眠による日中の眠気、夜間に十分な睡眠をとったにもかかわらず出現する日中の眠気の両方があり、その原因としては、不摂生な生活はもちろんのこと、身体あるいは精神疾患によるものや、脳の睡眠機構の障害によるもの、体内時計のリズムと生活リズムとのずれによって生じる眠気などが含まれています。 |
しかし、日中の過剰な眠気という症状のみで過眠症をひとくくりに論じられない場合もあります。また日中の眠気が症状の一つとしてみられても、患者の主訴は必ずしも日中の眠気ではないこともよくあります。 |
ここでは、睡眠障害を訴える患者が日中の過剰な眠気を主訴とする場合に沿って、代表的ないくつかの過眠症を取り上げます。 |