公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

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睡眠

睡眠時無呼吸症候群

 肥満などによって元来喉頭が狭窄している人で、睡眠中に骨格筋の弛緩に伴って気道閉塞が起こり、激しいいびきと数十回から数百回に及ぶ呼吸の停止を繰返します。その結果、睡眠が分断されるため、不眠を訴えたり、睡眠時間の不足から昼間に耐え難い眠気や居眠りが出現する疾患です。中年以上の男性に多く、過眠を訴える人の半数近くが本症候群といわれています。
 この症候群の重症例はピックウィック症候群と呼ばれていました。これは、ディッケンズの小説「ピックウイッククラブ」に登場する肥満少年についての描写が、この症候群の症状を極めて詳細かつ的確に表現していることから、名付けられたのです。その後、肥満がなくても睡眠時無呼吸を呈することがわかり、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれるようになりました。
 症状は、入眠と同時に激しいいびきが出現し、しばらくすると、呼吸が数秒から長い時で90秒近く停止して、大きないびきとともに回復します。これが一晩に数十回から数百回続き、多くの場合、本人はこの事実に気付かず、家族が心配して受診をすすめ来院します。
 睡眠中の無呼吸の回数が多くなってくると、日中に過剰な眠気、居眠りが出現します。注意・判断力、作業能率が低下し、行動は緩慢となります。子供ではときに行動異常や学習障害の原因となります。傾眠や作業能率の低下は主として夜間の睡眠障害に起因すると考えられていますが、無呼吸による慢性的な低酸素血症が脳機能低下に影響している可能性も考えられます。
 睡眠中の低酸素血症の副次症状として赤血球増多、チアノーゼ、右室肥大、右心不全、高血圧などが見られます。とくに最近は高血圧の一因として注目されています。
 診断と治療には、疑いがもたれたらできるだけ早く専門医に相談する必要があります。