睡眠のメカニズムの章で説明したように、人間には約1日周期のリズム(概日リズム)があり、生物時計ともよばれています。人間もその他の昼行性動物と同様に、夜の時間帯でないと安定した睡眠がとりにくいのです。それは、生物の体内時計や生物リズム機構の働きにより、行動、睡眠、自律神経機能などが1日の中で規則正しく制御されているからです。 |
最近、ジェット機による時差地域の移動や、さらに、深夜勤務者の増加、深夜放送を視聴する人々の増加などからわかるように、社会の変化にともない生活の夜型化が進んでいます。そのため、本来人間が睡眠をとっていた夜の時間帯に活動し、昼間の時間帯に眠らざるを得ない人々が増えてきました。これと同時に、約1日周期の身体のリズムの働きが不調となり、睡眠障害を起こす人が増えてきています。 |
これらは睡眠・覚醒リズム障害、あるいは概日リズム睡眠障害と呼ばれています(表6)。
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表6 概日リズム睡眠障害 |
時間帯域変化(時差)症候群
交代勤務睡眠障害
不規則睡眠・覚醒パターン
睡眠相後退症候群
睡眠相前進症候群
非24時間睡眠・覚醒症候群 |
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概日リズム睡眠障害の症状は、体内時計が外界の明暗周期とずれてしまい適切に合わせることができなくなるために睡眠のタイミングがずれてしまうもの(睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠・覚醒症候群など)、体内時計からみて不適切な時期に睡眠をとろうとするために睡眠の分断化や不規則化を示すもの(交代勤務症候群、時差症候群)、体内時計からみて本来眠るべき時期に活動しようとするために起こる心身の不調和による症状(内的脱同調)などにまとめることができます。
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